カニの知識
夏の食卓をおしゃれに彩る|カニが主役の洋食献立3パターン

元気が出る色鮮やかな洋食を食べたい! 暑さにやられて気だるい、そんなあなたにおすすめなのは、カラフルに彩られた夏の洋食献立です。食欲は、味、香り、そして見た目が三位一体となって刺激されます。彩りを意識して、器にもこだわれば日々の食事の楽しみを増やすことができます。美味しさはもちろん、夏の鮮やかな食材とカニを使った料理で元気を取り戻してみてはいかがでしょうか。 ビタミンたっぷりのパスタ献立 ワタリガニパスタ オリーブオイルでみじん切りにしたニンニクを炒めて香りをたたせます。カニ味噌、みじん切りのタマネギ、マッシュルームを加えてタマネギが透明になるまで火を入れます。下処理したワタリガニを加えて、白ワインと水で蒸します。トマト缶を加えて10分ほど煮込んだら塩コショウで味を調えて、ワタリガニパスタソースの完成です。ゆでたパスタと和えれば、カニの旨味たっぷりの豪華なパスタの出来上がりです。 夏野菜のカラフルマリネ 乱切りにしたナスとズッキーニをオリーブオイルで焼きます。焼き色が付いたら、ミニトマトを加えて皮が裂けるまで火を入れます。マリネ液は、オリーブオイル大さじ3、白ワインビネガー大さじ1、レモン汁大さじ1、砂糖大さじ1、塩ひとつまみ、コショウ少々、すりおろしニンニク少々を鍋で温めて作ります。粗熱を取ったマリネ液に野菜を浸けて、冷蔵庫で冷やしたら完成です。 カボチャの冷製ポタージュ タマネギを焦がさないようにバターで炒めます。水とコンソメ、醤油、皮とワタを取り除きひと口大に切ったカボチャを加えて10分煮込みます。火を止めてミキサーやブレンダーでなめらかにしたら牛乳もしくは生クリームで伸ばして加熱します。冷蔵庫で冷やしたら完成です。パセリやクルトンをトッピングすると、さらに美しい見た目になります。 サッパリとなめらかを味わう夏献立 カニのカルパッチョ 刺身用のカニを使うと甘くねっとりとした美味しさを味わうことができます。下処理したカニの身とハマチを盛り付けます。オリーブオイル大さじ2、塩少々、黒コショウ少々、レモン汁小さじ2、すりおろしニンニク1/2を混ぜ合わせてソースを作ります。カルパッチョソースをかけて、お好みでパセリやバジルを散らしたら完成です。 ラタトゥイユ 半月切りにしたズッキーニとナス、セロリ、乱切りにしたパプリカに粉末のコンソメをまぶします。さいの目切りにしたタマネギとスライスしたニンニクをオリーブオイルで炒めます。ズッキーニ、ナス、セロリ、パプリカを加えて炒めたら、トマト缶を汁ごと入れて蓋をして20分程煮込みます。塩コショウで味を調えたら完成です。お好みでローリエや柑橘の果汁を入れるとアレンジの幅が広がります。 ジャガイモと枝豆のビシソワーズ 皮を剥いたジャガイモ、タマネギを薄切りにします。枝豆はゆでてさやから外します。バターでタマネギを炒めたら、じゃがいも、枝豆、水、コンソメを加えて煮ます。塩コショウで味付けしたら、粗熱をとってミキサーもしくはブレンダーでなめらかになるまで混ぜます。牛乳と生クリームで伸ばしたら、生クリームと枝豆を飾り付けて出来上がりです。 カニの身をしっかり味わう洋食メニュー カニのブールブランソース 洋食はソースにこだわる料理が豊富です。ブールブランソースとは、白ワインとたっぷりのバターを使って仕上げるコクがたっぷりのソースです。タマネギをみじん切りにし、白ワインと白ワインビネガーと合わせて水分がなくなるまで煮詰めます。焦げないように注意しながら、バターを乳化させながら、数回に分けて混ぜ合わせます。火を止めて塩コショウで味を付けたら、ブールブランソースの出来上がりです。下処理して殻を外したカニの身をお皿に盛り、パセリを散らしたら完成です。 グリーンサラダ ちぎりレタス、斜め薄切りにしたきゅうりをお皿に盛り付けます。オリーブオイルとバルサミコ酢を混ぜ合わせて、塩コショウで味を調えます。サラダにドレッシングをかけたら、お好みでオリーブの実や砕いたナッツで飾り付けていただきます。 トマトのガスパチョ 皮を湯むきしたトマトをざく切りにし、パプリカ、きゅうり、タマネギをひと口大に切ります。粗みじん切りのパプリカときゅうりも用意しておくと飾り付けできれいに仕上がります。ミキサーまたはブレンダーで野菜、ニンニク、トマトジュース、白ワインビネガー、オリーブオイルを混ぜ合わせます。塩コショウでスープの味を調えて冷蔵庫で冷やしたら、飾り付けをして完成です。 洋食でカニを美味しく調理するコツ ふんどし、砂袋、がにを取り除く 下処理で食べられない部位、鮮度が下がりやすい部位を取り除きましょう。甲羅のぬめりや汚れを小さなブラシで落としたら、ふんどしと呼ばれる部分を折り取ります。甲羅を外したら、エラや砂袋を除去します。水で流しながら砂を洗い流したら下処理の完了です。 殻に切り込みを入れる 殻ごと調理する料理も多いので、食べるときに身と殻を分けやすいよう切り込みを入れておきましょう。殻があると食べづらいというデメリットがありますが、カニの殻から出るだしは旨味がたっぷりなので、ひと手間かけてでも濃厚なカニの香りと味を味わいたいものです。 「蒸す」と「ゆでる」を使い分ける カニの香りを生かした料理を作るときは、蒸す調理方法が向いています。先に紹介したブールブランソースでいただくカニも脚の肉を蒸すことで、食感と香りが豊かになります。量が多い場合や下味で塩味を付けたいときはゆでるのがおすすめです。旨味が逃げないように最低限のゆで時間で調理するようにしましょう。 カニの洋食献立に合うお菓子・飲み物・食器 カニの洋食献立に合うデザート 夏のデザートでおすすめなのは、シャーベットです。夏が旬の桃シャーベットは、桃をカットして水、レモン汁とミキサーで混ぜ合わせる、冷やし固めてメレンゲと混ぜ合わせる、細かく崩して盛り付けるの3ステップで出来上がります。お好みのフルーツを使った冷たいデザートで体を冷やしてみてはいかがでしょうか。 カニの洋食献立とマリアージュさせたい飲み物 すっきりとした味わいの白ワインがぴったりです。今回紹介した料理にも使われているので、調理にも使えて無駄がありません。うだる暑さに打ち勝てるようにスパークリングワインやビール、ソーダ割など炭酸ですっきりとさせると、カニ料理をより美味しくいただけます。 料理を引き立てる食器選び 白い皿を選ぶと、カニの赤と夏野菜の彩りが引き立ちます。クリアなブルーやミントグリーンなど寒色系の食器を選ぶと涼しさを演出することができます。透けたガラスの食器もひんやりとした印象になるのでおすすめです。 夏にぴったりなカニの洋食料理3選 カニとアボカドで作る冷前菜 クリームチーズなどお好みのチーズとアボカドをダイスカットします。カニの身は殻を外して粗めにほぐします。半量のカニとチーズ、アボカドにレモン汁小さじ1と塩コショウを和えたら、残りのカニをトッピングして出来上がりです。 カニスパイスパエリア 米2合を洗ってザルに上げたら、カニの殻にハサミで切れ目を入れます。フライパンに油を熱して、みじん切りしたニンニク、ショウガ、タマネギの香りを立てます。米を加えて炒めたら、カレー粉、水360 cc、ブイヨン、白ワイン大さじ2、塩コショウを入れて混ぜます。カニやムール貝を乗せて、蓋をして15分程炊いたら、10分蒸らして完成です。 カニとトマトの冷製ハーブスープ 濃厚タイプのトマトジュースを冷やしておきます。スープ皿にトマトジュースを注いだら、下処理をしたカニの実を乗せて、レモン汁、ハーブソルトを加えます。オリーブオイルを回しかけたら出来上がりです。 夏の洋食カニ献立まとめ 食材をしっかり冷やしておくことが冷たい料理を作る基本になります。栄養たっぷりのカニと酸味と旨味を兼ね備えたトマトは、とても美味しい食べ合わせです。旬の夏野菜やお魚を調べて、今回ご紹介した献立を自分流にアレンジして楽しんでみてはいかがでしょうか。白ワインとのマリアージュも夏のカニのおいしさを引き出す食べ方なので、ぜひ試してみてください。カニと色鮮やかな夏野菜のコラボレーションで夏バテを乗り越えましょう。
日本の夏を涼しげなカニ料理で乗り切ろう|カニが主役の和食献立3パターン

暑い夏はさっぱりとした和食を食べたい! 日本の夏は温度と湿度が高く、食欲も減りがちになります。そんなときは、さっぱりとした涼しげな味わいの和食を食べてみませんか。今回ご紹介するのは、さっぱり食べられる栄養満点のタンパク源「カニ」を使った料理です。カニの美味しさを最大限引き出す和食献立3パターンを詳しく紹介します。 活きガニを味わうお刺身御膳 プリプリ食感が美味しいカニの刺身 活きガニあるいは生食用の冷凍ガニを用意します。活きガニの殻を剥き、氷水で1分締めます。冷凍ガニは食べる分だけ袋に入れて流水解凍します。半解凍状態になったら盛り付けて、わさび醤油でいただきます。お好みで紫蘇や酢橘、レモンを添えるとさらに美味しいです。 切り干し大根のハリハリ漬け 水で戻した切り干し大根、きゅうり、にんじん、生姜を千切りにします。しょうゆ、みりん、米酢を40から60 cc、砂糖大さじ1、鷹の爪、生姜を合わせて鍋で加熱します。沸騰後、切り干し大根、きゅうり、にんじんを加えて冷ましたら完成です。しばらく寝かせておくと味が馴染むので、前日に仕込んでおくのがおすすめです。 ご飯にかけて食べる冷汁 焼き魚のほぐし身と味噌を合わせてフライパンで焼きます。冷やした出汁に焼き味噌を溶かして、薄く輪切りにしたきゅうり、千切りの紫蘇、ちぎった豆腐を加えます。すりごまを振りかけて、ご飯にかければ完成です。氷やミョウガを足したり、さまざまな青魚、白身魚を試したりすると美味しくアレンジできるのでお好みの具材を見つけてみてください。 夏を楽しむ天ぷら御膳 サクッと揚げるカニの天ぷら 半解凍したカニの水気をキッチンペーパーで拭き取ります。塩を振って水分を拭き取ったら、天ぷら衣を付けて180度の油で揚げます。天ぷら衣は薄力粉、片栗粉、ベーキングパウダー、卵に氷水を少し加えて作るとサクサクに仕上がります。衣を作ってからは時間との戦いなので、手早く調理するよう心がけましょう。めんつゆやポン酢醤油、塩、大根おろしを添えると美味しくいただけます。 ネバネバもずく和え ゆでたオクラを1センチ幅に切り、半分に切ったプチトマト、もずく、合わせ酢を混ぜ合わせて完成です。長芋やなめこなど、他のネバネバ食材をたっぷり入れても美味しくいただけます。カップのもずく酢を使えばさらに時短で手軽に作ることができます。 夏野菜のすまし汁 カボチャ、ナス、ミョウガの実をいただくすまし汁です。薄く切った野菜をごま油で炒めて、水を注ぎ、和風顆粒だしを入れます。みりん、塩、醤油で味を調えたらミョウガとおろし生姜を入れて完成です。家にある野菜を入れて日替わりでいただくのもおすすめです。 シンプル調理でカニを食べる焼きガニ御膳 カニ味噌を付けていただく焼きガニ 食べやすいようにカニの足と関節を切り離します。片面の殻を取り除いたら、グリルで焼きます。旨味が流れ落ちないように殻が付いている方を下にして焼くのがポイントです。焼き色が付いたら、だし汁、醤油、柚子や酢橘、レモンなどの柑橘の果汁を2対1対1で混ぜたポン酢醤油でいただきます。 ツナとゴーヤの酢の物 ワタを取り除いたゴーヤを薄い半月切りにして、塩と砂糖を揉み込み、10分程置きます。ゴーヤをサッと湯通ししたら、生姜の酢漬け、ツナ、合わせ酢と混ぜて出来上がりです。和えた後、冷蔵庫で冷やして味をなじませてから食べましょう。仕上げに黒コショウを振ればシャープな味になります。 ナスとミョウガの味噌汁 ヘタを取ったナスを半月切りにし、ミョウガは小口切りにします。鍋にお湯を沸かし、和風顆粒だしを溶かしたら、ナスを加えて煮ます。味噌を溶き入れてひと煮立ちしたら、ミョウガを加えて完成です。ネギやすりごま、ごま油を足すと、美味しさがアップします。 夏のカニを和食向きに調理するポイント 正しい方法で解凍する カニの正しい解凍方法を活きガニとゆでガニに分けてご紹介します。冷凍活きガニは氷水に入れて、半解凍になるまで15から30分置きます。冷凍ゆでガニの表面にはグレーズという氷の膜が付いています。グレーズを流水で溶かしたら、冷蔵庫に入れて8時間程度置きます。キッチンペーパーやラップ、ポリ袋でカニの表面を覆うと、身がしっとりしたまま解凍できるうえ、臭いも気になりません。電子レンジを使った解凍や常温に放置または蒸し器での加熱は絶対にやってはいけない解凍方法です。どんなに急いでいても美味しさが損なわれるので、間違った解凍方法は避けるようにしましょう。 冷水や氷水を使って身を引き締める ゆでたカニを冷水や氷水で締めると、身が引き締まって美味しくなります。また、温度差によって、殻と身が離れやすくなるので食べやすくなります。新鮮な活きガニが手に入ったら、氷水に1分浸けて身を開かせてみましょう。1分以上漬けると旨味が逃げてしまうので注意が必要です。 カニ本来の旨みを引き出す味付けにする 塩やカニ酢、カニ味噌、醤油などシンプルな味付けでいただくのがおすすめです。質が高いカニを選べば、味付けなしでも極上の旨味を楽しむことができます。正しい保存方法と下処理そして調理方法でカニ本来の味を感じましょう。 カニの和食献立に合うお菓子・飲み物・食器 カニの和食献立に合う二の膳 涼しげな夏の和菓子といえば、わらび餅、水ようかん、あんみつなどがあります。和菓子屋さんで買ったりお取り寄せしたりしても美味しいですが、冷房が効いた部屋で手作りするのも楽しいです。わらび餅は、わらび餅粉と水、砂糖を加熱しながら混ぜ合わせて作ります。透明になるまで練り合わせたら、きな粉をたっぷりまぶしていただきます。 カニの和食献立と合わせていただきたい飲み物 水出し緑茶、水出し麦茶がすっきりとした味わいでごくごく飲めます。旨味たっぷりのほんのり甘い緑茶を淹れるには、低温でじっくり抽出するのがミソです。濃い味わいの麦茶を淹れるコツは、水出し前に麦茶パックを少量のお湯に浸して蒸らすことです。水道水ではなく、ミネラルウォーターや煮沸後冷ました水を使うと、さらに美味しく出来上がります。 涼しさを演出する食器選び 夏の食器にぴったりなのは、ガラス製の器です。ガラス製の器にそうめんを盛って氷を並べれば、見た目にも涼しく、食材の色をクリアに引き立ててくれます。ガラス製のグラスに飲み物を注いで氷を浮かべると、風鈴のような音色がして夏らしい食事を楽しむことができます。また、青磁のお皿など青い食器を選ぶと視覚から爽やかさを得られます。 さっぱり食べられるカニの和食料理3選 カニの酢のもの たっぷりのカニにきゅうりとわかめを合わせて酢で和えた料理です。輪切りのきゅうりに塩をまぶし、水気を切っておきます。水またはぬるま湯でわかめをもどし、ひと口大に切ります。次に醤油小さじ2、酢大さじ1、はちみつ小さじ2、水小さじ1を混ぜ合わせます。きゅうりとわかめ、冷凍カニの身を解凍して盛り付け、合わせ酢をかけたら完成です。 カニのちらし寿司 酢飯にカニ、サヤインゲン、レンコン、錦糸卵を混ぜたちらし寿司です。カニの種類はお好みで構いませんが、身入りの良いズワイガニがおすすめです。夏が旬のサヤインゲンをゆでて、水にとって冷ました後、斜め切りにして醤油をまぶしておきます。ゆでたレンコンまたは水煮のレンコンを銀杏切りにします。ご飯に合わせ酢とサヤインゲン、レンコン、錦糸卵、カニを混ぜ合わせたら出来上がりです。 カニサラダそうめん ゆでたそうめんに塩もみしたきゅうりとカニの身を合わせた冷たい料理です。加熱した食材を氷水でしっかりと冷やすのがポイントです。冷やしたきゅうりとほぐしたカニの身をそうめんに合わせます。味付けはシンプルに和風顆粒だしと食塩です。仕上げにレモン汁を絞れば完成です。お好みで鰹節やトマトを合わせても美味しいです。 夏の和食カニ献立まとめ お刺身、天ぷら、焼きガニなど、カニをシンプルに美味しく味わう料理の紹介をしました。調理のコツ以上に、正しい解凍方法が美味しさに直結します。低温で乾燥しないように、旨味が流出しないように溶かすのが鉄則です。カニがメインのさっぱり和食を食べて、じっとり暑い日本の夏を元気に乗り切りましょう。
【超簡単】タラバガニとズワイガニの違いを現役料理人が解説

食べたことはあっても、両者の違いをすべて言える方は多くないでしょう。どちらもカニの代表格ですが、味も値段もまったく違います。 本記事では、タラバガニとズワイガニの違いをわかりやすく解説します。現役料理人が教えるおすすめの食べ方も、参考にしてみてください。 結論から言うと、タラバガニとズワイガニの大きな違いは3つです。 ・見た目・味と食感・販売価格 最後まで読めば、タラバガニとズワイガニを即座に見分けられるようになります。どちらも大変美味しいカニです。味や料理法の違いを知ることで、それぞれの魅力をより引き出せます。 タラバガニとズワイガニの違い【見た目・味・価格を徹底比較】 両者には分類学上の大きな違いがあります。 タラバガニは「十脚目(エビ目)・異尾下目(ヤドカリ下目)・タラバガニ科・タラバガニ属」で、分類学上はヤドカリの仲間になります。 ズワイガニは「十脚目(エビ目)・短尾下目(カニ下目)・ケセンガニ科・ズワイガニ属」で、れっきとしたカニの仲間です。 見た目(脚の数と甲羅の大きさ)の違い|タラバガニとズワイガニの見分け方 タラバガニとズワイガニの見た目の違いは、脚の数と甲羅の大きさです。 タラバガニ ・脚の本数:8本・甲羅の大きさ:幅25㎝ほど 全体的をトゲで覆われているのが特徴です。外見上8本脚ですが、小さな脚が甲羅の下に隠れているだけで実は10本脚。オスのほうが太く長く、脚を左右に広げると1mに達します。大きなタラバガニで寿命が30年もあり、甲羅が20cm以上に成長するのに16~17年ほどかかります。 ズワイガニ ・脚の本数:10本・甲羅の大きさ:大きいもので幅14cmほど タラバガニと比べ甲羅が小さく、丸みを帯びた三角形が特徴です。脚が極端に長く、左右に5本ずつ計10本あります。オスとメスで大きさが違い、オスは倍ほどの大きさに成長します。 味・食感・カニ味噌の違いを比較 タラバガニとズワイガニは、味・食感とも大きく違います。 タラバガニ ・味:淡泊な味わいで加熱すると甘みが増す・食感:プリプリの食感で食べ応えがある・カニ味噌:ほとんど入っていない 主な可食部は極太の脚肉で、繊維質な身は抜群の歯ごたえです。食べ応えが十分で、カニを食べたという満足感を味わえます。 タラバガニのカニ味噌は少量なうえ、加熱しても固まらないため流れ出てしまいます。メスの場合、内子(卵巣)は美味で外子(受精卵)はあまり美味しくありません。 ズワイガニ ・味:甘みと旨みが強い・食感:やわらかくて繊細・カニ味噌:たっぷり入っている 脚だけでなく、たっぷり詰まったカニ味噌もズワイガニの魅力です。濃厚なカニ味噌は、加熱することで旨みが増します。 上品な肉質はカニ特有の香りと味が強く、身と味噌の両方を堪能できます。タラバガニと違い、メスの内子も外子も美味です。 値段の違い|相場価格を比較 タラバガニもズワイガニも、オスに高値が付きメスは安価です。 タラバガニ ・平均卸価格:1㎏あたり7,318円(2022年12月時点)・相場価格:1㎏あたり14,980円ほど オスの国産タラバは高級品ですが、輸入物でも大きければ高値が付きます。高級食材のため食卓に並ぶことは珍しく、年末年始の風物詩となっています。 ズワイガニ ・平均卸価格:1㎏あたり6,074円(2022年12月時点)・相場価格:1㎏あたり7,260円ほど 産地によって値段が違い、地域ごとにブランド化したズワイガニが存在します。 参照:東京・豊洲市場の水産市況グラフポータル by GD Freak! アブラガニとの見分け方 流通するタラバガニ科には、アブラガニという種類が存在します。タラバガニとよく似ていますが、味が劣ると言われています。値段も安いため、タラバガニと偽って販売されることもありました。 両者の大きな違いは2つ。 甲羅にあるトゲの違い ・タラバガニ:甲羅の中心部分に6つのトゲがある。・アブラガニ:甲羅中央にあるつぼ型の膨らみに、4つのトゲがある。 脚の裏側の色違い ・タラバガニ:脚の裏にも焦げ茶色の部分があり、茹でると赤くなる。・アブラガニ:脚の裏はほぼ白く、茹でても赤くならない。 まれにトゲの数が4つのタラバガニもいますが、裏側の色で両者を見分けられます。 タラバガニとズワイガニの食べ方の違い【料理人が教えるおすすめの食べ方】 カニの食べ方で一般的なのは4つです。 ・カニ刺・焼きガニ・茹でガニ・カニしゃぶ・鍋 刺身や茹でガニならズワイガニ、焼き・茹でガニならタラバガニがおすすめ。しゃぶしゃぶや鍋は、種類に限らず生ガニがおすすめです。 カニを美味しく食べる基本調理3選 タラバガニのおすすめは焼きガニと茹でガニ タラバガニは加熱することで適度に水分が抜け、甘みと旨みが凝縮します。身がぎっしり詰まっているので、加熱しても抜群の食べ応えです。 茹でガニは殻をむいて、そのままかぶりつくのがおすすめ。焼きガニの場合は次の3つに注意してください。 ・焼き過ぎに注意・身を上にして焼く・ひっくり返さない くれぐれも焼き過ぎには気を付けましょう。生タラバガニは半解凍させてから、茹でタラバガニはサッと炙る程度に焼きます。目安は3~4分で、殻に軽く焦げ目が付いたら食べ頃です。身を下にしたり途中でひっくり返したりすると、旨みたっぷりのカニエキスが流れてしまいます。 カニを焼く際は、フライパンやホットプレートがおすすめ。魚焼きグリルやトースターで焼くと、焼き加減が目視できないため焼き過ぎるからです。アルミホイルを敷けば、タラバガニのトゲでテフロン加工が傷付くこともありません。 ズワイガニのおすすめはカニ刺と茹でガニ やわらかくて甘みが強いズワイガニは、刺身がおすすめ。大きいオスのズワイガニなら、十分な食べ応えがあります。 カニのもうひとつの醍醐味、カニ味噌を味わうなら茹でガニがおすすめです。ズワイガニはカニ味噌をたっぷり含んでいるため、温めた味噌に脚肉を付けて食べることもできます。メスの内子(卵巣)はそのままでも美味しく、外子(受精卵)は酢醤油やわさび醤油がよく合います。 料理人が教える失敗しないコツ カニを購入する場合、通販サイトなどで冷凍ガニを購入することが多いでしょう。 カニを美味しく届けるための加工方法はコチラ 冷凍ガニを上手に解凍するコツは「氷水解凍」です。カニは周囲との温度差が大きいほど、旨みを含んだエキスが流れ出しやすくなります。氷水で冷凍ガニとの温度差をなくし、旨みの流出を防ぐのです。水は空気よりも熱伝導率が高いため、冷蔵庫よりも早く解凍できます。 1.カニがすっぽり入る容器に氷水を張る2.冷凍ガニをビニール袋に入れる3.水が入らないよう袋の口を容器の外へ出す4.カニが浮かないよう重石をのせる5.甲羅や殻に弾力が出てきたら完了 カニは解凍直後から味が落ちるため、完全には解凍しません。 タラバガニとズワイガニの旬の違い【ズワイと紅ズワイの違い】 種類が違えば旬の時期も違います。カニは冬のイメージが強いですが、ヤドカリの仲間であるタラバガニは春先にも旬を迎えます。 ズワイガニと紅ズワイガニの違いについても、詳しく解説します。 旬の時期と漁期の違い 資源保護のため、漁期や漁獲していい大きさなどが厳しく制限されています。 タラバガニの旬 ・4~5月・11~2月・漁期:12~5月 タラバガニの旬は年2回です。春先は産卵期と重なるため漁獲量が増え、秋以降はしっかり身が詰まった「堅ガニ」が獲れます。 ズワイガニの旬 ・11~3月・漁期:オス10~5月・メス11~1月上旬 ズワイガニの漁期は産地や性別によって違います。輸入のズワイガニは日本の漁期に影響されません。 カニが美味しい季節についてはコチラ 産地の違い|国産と輸入の割合 タラバガニの主な産地 ・オホーツク海やベーリング海(北海道・ロシア・アラスカなど) 寒い海域を好むため、日本では北海道でしか漁獲できません。9割近くがロシアからの輸入で、北海道産のタラバガニはかなり希少です。 ズワイガニの主な産地 ・オホーツク海や日本海(北海道・兵庫県・鳥取県・福井県など) タラバガニと違い、北海道以外でも漁獲されます。国産ズワイガニの産地で有名なのは山陰や北陸地方の日本海側で、地域ごとに厳しい基準をクリアしたブランドガニが存在します。 国産と外国産の徹底比較はコチラ ズワイガニと紅ズワイガニの違い 見た目や産地に大きな違いはありませんが、紅ズワイガニのほうが安価です。 ズワイガニ ・見た目:全体的に茶色い・味:甘みと旨みが強い・食感:やわらかい・カニ味噌:濃厚・相場価格:1㎏7,000~15,000円ほど 紅ズワイガニ ・見た目:鮮やかな紅色・味:甘みが強い・食感:水分が多くジューシー・カニ味噌:あっさり・相場価格:1㎏あたり5,000~6,000円ほど ズワイガニと比べて身入りは少ないですが、殻が薄いので身を取りやすいです。ズワイガニより甘みが強く、鍋料理などで加熱すると違いがよくわかります。 タラバガニやズワイガニの購入方法【カニ通販サイトがおすすめ】 タラバガニやズワイガニの購入は、カニ通販サイトが便利です。購入の際は、次の2点に注意して選びましょう。...
夏のカニを中華で味わう|カニが主役の中華献立3パターン

中華でカニと言えば上海ガニ 中国のカニといえば、上海ガニが代表格です。しかし、上海ガニの旬は夏が過ぎて涼しくなった9月頃から始まります。今回は上海ガニ以外のカニでも美味しくいただける夏にぴったりの中華料理をピックアップしました。中華食材としてのカニ、そしてカニと他の食材との食べ合わせを通じて、中国の食文化を一部ご紹介します。 冷房で冷えた体を芯から温めるほっこり献立 螃蟹燉南瓜(パァンシィエドゥンナァン) カニとカボチャの煮物です。カボチャは皮とワタを取り除いてひと口大に、カニは身と殻を外して大きめに切っておきます。刻んだネギとショウガを油で炒めて香りを立てたら、カニを加え、カニの身が赤くなった頃にカボチャを入れます。水を注いで煮立たせ、塩と旨味調味料を加え、煮汁が少なくなるまで煮詰めたら完成です。 地三鮮(ディサンシェン) ジャガイモ、ナス、ピーマンなど夏に手に入りやすい野菜で作る塩味と辛味が効いた炒め物です。ジャガイモの皮を剥き、ナス、ピーマンと共にひと口大に切ります。ジャガイモに電子レンジで火を通したら、野菜を素揚げにします。油と豆板醤を弱火で炒め、刻んだニンニク、ショウガ、本格中華に欠かせない豆豉、さらにネギと鷹の爪を加えて香りを出します。砂糖、酒、オイスターソースを小さじ1ずつ、醤油大さじ1、中華だし、胡椒、水溶き片栗粉を加えて、調味料を行き渡らせます。仕上げにごま油を回し入れて出来上がりです。 榨菜肉絲湯(ヂァーツァイロースータン) 日本でもお馴染みの中華食材ザーサイと細切り肉を使ったスープです。ザーサイと豚もも肉を長さ4 cm、幅5 mmの細切りにします。お肉の種類は家にあるもの、お好みのもので構いません。お肉に塩コショウと紹興酒をまぶして10分付けておきます。鍋にごま油を引いて温めたら、片栗粉をまぶしたお肉、ザーサイを加えます。鶏がらスープを注いでアクを取りながら煮ます。醤油、炒りごま、ごま油、青ネギ、辣油で仕上げて完成です。 スパイシーな香辣ダレが刺激的な献立 香辣蟹(ジャンラーシィエ) 殻ごと素揚げにしたカニを濃厚で辛いタレと絡めたワイルドな料理です。殻を外さずに丸ごと揚げるので、カニの表面に付いた汚れを流水で丁寧に洗い流します。食べられない部位を取り除いたら、塩、酒、コショウで10分間下味を付けます。ニンニク、ショウガ、ネギをみじん切り、鷹の爪を輪切りにしたら、醤油、オイスターソース、黒酢を加えてタレを作ります。カニに片栗粉をまぶしてカニの表面が黄金色になるまで揚げます。揚げたカニにタレを絡めたら炒めて仕上げましょう。 清炒蕹菜(チンチャオウォンツァイ) シンプルな空芯菜炒めです。ちなみに、中国では空「心」菜、日本では空「芯」菜と表記が違うこともあります。水分でベチョベチョにならないよう強火で一気に火を通すよう心がけましょう。空芯菜を洗って水気を切り食べやすい大きさにします。みじん切りにしたニンニクを油で炒めて香りを強めます。空芯菜を入れて強火で炒めます。塩と鶏ガラスープの素で味をつけて炒めたら盛り付けます。 鶏豆花(ジードーファー) ふわふわの鶏ひき肉をおぼろ豆腐に見立てた、四川の古典的なスープです。脂肪が少ないむね肉の挽肉を使うとふわふわで繊細な味に仕上げることができます。鶏むね挽肉に塩コショウ、生姜汁を入れてこねます。卵白、水、水溶き片栗粉を加えて混ぜて粘度を高めます。鶏がらスープに流し入れて、満遍なく沸騰するよう火加減を調節します。このとき、鍋の中をかき回さないよう辛抱しましょう。アクをとって盛り付けたら出来上がりです。 見栄えも良い食べ応え満点なカニ爪揚げ献立 百花蟹剪(パイホアシェージェン) カニの爪にエビのすり身をまとわせて揚げた料理です。見た目にインパクトがあるので、パーティーにもぴったりな一品です。カニとエビの下処理をして、フードプロセッサーでエビをすり身にします。すり身には、日本酒、塩コショウ、ごま油を練り込んで冷やしておくことがポイントです。カニの表面に片栗粉をまぶして、エビすり身で包み、薄力粉、溶き卵、パン粉を順につけて、揚げたら出来上がりです。 涼拌黄瓜(リャンバンホァングア) ニンニクを効かせたきゅうりの副菜です。まず、きゅうりに塩をまぶして板ずりし、食感と色を良くします。次に、ポリ袋に入れて、すりこぎでたたきひと口大の大きさにします。みじん切りにした長ネギとニンニク、ごま油、酢、塩、砂糖を加えて揉み込み味をなじませたら完成です。冷蔵庫で15分以上冷やすと味がしっかり染み込んで美味しくなります。 卵とトマトの酸辣湯(サンラータン) 酸味と辛味で卵とトマトをさわやかにいただくスープです。トマトを食べやすい大きさに切ります。鍋に、水150 cc、鶏がらスープの素と醤油を小さじ1/2ずつ、塩、コショウ、砂糖を少々、酢を小さじ1入れて火にかけます。スープが沸騰したら、トマトを加えて溶き卵を加えます。盛り付けてラー油をかけたら出来上がりです。 夏のカニを中華料理向きに調理するポイント オスとメスで食べ方を変える オスとメスで味や旬が異なると言われています。10月までの時期は卵を持つ産卵前のメスが美味しい、それ以降は身入りの良いオスが美味しいと言われることもあるので、卵も味わいたい場合はメス、身の存在感が必要な料理ではオスを使うと良いでしょう。 旬のカニを狙う カニは種類と産地により旬の時期が異なります。旬のカニは美味しさが格別なので、旬の時期に漁獲されたカニを購入するのがおすすめです。 カニの汚れを落とす 中華料理では、カニを殻ごと使うことが多いので、表面の汚れや泥を丁寧に落とすようにしましょう。硬めのスポンジや小さめのブラシを使うと掃除しやすいです。 カニの中華献立に合うお菓子・飲み物・食器 カニの中華献立に合う甘味 さっぱりした甘味が欲しくなるので、豆花(トウファ)がおすすめです。豆乳、砂糖をゼラチンで固め、冷蔵庫で冷やしシロップとフルーツを乗せたら出来上がるお手軽スイーツです。 カニの中華献立と合わせていただきたい飲み物 中国では体を温める食材と冷やす食材という考え方があり、カニは体を冷やす食材に分類されます。ビールはNG、紹興酒は相性ぴったり、アルコールを飲まない人はショウガや黒酢を合わせるといった食文化があります。 涼しさを演出する食器選び 茶器をガラス製にし、竹製のコースターを添えるだけで、普段の中華食器も夏の装いに変えることができます。透け感のある模様の器も夏ならではの雰囲気を味わえるのでおすすめです。 さっぱり食べられるカニの中華料理3選 カニとキクラゲの中華和え 中華料理の代表食材キクラゲをカニと合わせた冷たい和え物です。乾燥キクラゲを水に戻して、カニの下処理とゆで調理を行い、キュウリを千切りにします。カニの身を大きめにほぐして、キクラゲ、キュウリと合わせて酢大さじ2、ごま油小さじ1、醤油大さじ1で調味します。味を調整したら盛り付けて完成です。 カニ和え麺 カニの下処理を行い、ニンジンとジャガイモの皮をむいて、ゆでたらフードプロセッサーでペースト状にします。生姜とネギをみじん切り、干し椎茸を水またはぬるま湯で戻して千切りにします。油を熱したフライパンで生姜とネギを炒めて、カニ、椎茸、ニンジン、ジャガイモ、水を加えて加熱します。塩小さじ1、砂糖大さじ1、鶏がらスープの素小さじ1、黒酢大さじ2を加えてさらに加熱します。麺をゆでて油と醤油を絡めたら、餡を乗せて出来上がりです。 冷やしカニ玉 夏仕様の冷たいカニ玉です。カニのほぐし身と水に戻したキクラゲ、溶き卵、50 ccの水、鶏がらスープの素4 gを混ぜ合わせます。フライパンに油を熱して、半熟になるまで卵に火を通します。耐熱の器に油を塗り、卵を入れて電子レンジで600 w50秒加熱し、粗熱をとって冷蔵庫に入れます。オクラ、ナス、トマトなどの夏野菜の下ごしらえをします。水100 cc、めんつゆ25 cc、みりん小さじ2、鶏がらスープの素2.5 g、片栗粉で餡を作り、常温で冷まします。卵を器に盛り付けて、夏野菜を添え、餡をかけたら完成です。 夏の中華カニ献立まとめ カニはゆでたり、刺身にしたりするだけでなく、揚げ物や和え物でも美味しくいただけます。日本ではさまざまな調理のバリエーションでカニを楽しむ機会が少ないですが、この読み物をきっかけに、味わってみてはいかがでしょうか。
カニの栄養学|高タンパクでヘルシーなカニを食べよう

カニは高級食材というイメージが強いです。食べる量や頻度が少ないということは、食べ過ぎは体に良くないのではと考える方も多いのではないでしょうか。意外に思うかもしれませんが、カニは体に嬉しい栄養素がたっぷり含まれた食材です。今回はカニの美味しさではなく、栄養価に焦点を当てて別視点からのカニの魅力をお伝えします。 カニの栄養基礎データ エネルギーは低カロリー カニのエネルギーは100グラムあたりおよそ60キロカロリーです。皮付き鶏もも肉が200キロカロリーであることを考えると、7割程度カロリーカットができるので、カニはヘルシーな食材だとよく分かります。 炭水化物が少ない 炭水化物が100グラムあたり0.1から0.2グラムなので、糖質の摂りすぎが気になる方におすすめです。カニをおかずにすれば、ご飯を我慢せずに糖質オフが叶います。 脂質も少ない 脂質は100グラムあたり1グラム未満という少なさです。皮付き鶏もも肉ではおよそ14グラムなので、脂質を控えたい方、脂質異常症やメタボリックシンドロームを予防したい方におすすめです。 タンパク質が豊富 炭水化物と脂質の少なさと裏腹に、タンパク質は100グラムあたりおよそ15グラムとたっぷり含まれます。同じ重量の豆腐と比較して3倍タンパク質が多いので、ダイエット中のタンパク源として利用する価値があります。 ビタミンとミネラルもたっぷり 水分たっぷりのカニですが、タンパク質以外にも栄養素がぎっしり詰まっています。体の機能を整えてくれるビタミンやミネラルがいくつも豊富に含まれています。 カニに含まれるビタミンの効果 ビタミンB12で貧血予防と核酸合成 ビタミンB12は、神経や血液細胞を健やかに保ち、DNAの生成を助けるビタミンです。ビタミンB12が欠乏すると、悪性貧血を発症します。他には、疲労、体力低下、便秘などの症状が出ることもあります。日本では普通の食事をしていれば不足することはありませんが、偏った菜食、食欲不振の場合、ビタミンB12の吸収に必要な因子を作れない病気に罹っている場合に悪性貧血になることがあります。 ナイアシンで皮膚を健やかにする ナイアシンは、生命を営むために必須の化学反応を補酵素として助けます。生命維持や運動に必要なエネルギーの産生、体の酸化防止、ホルモンを作る、DNAの修復と合成などさまざまな反応に欠かせません。ナイアシンが欠乏すると、ペラグラという皮膚炎を発症します。ビタミンB12と同様に普通の食生活を送っている人なら欠乏することはありません。 ビタミンEで酸化を防ぐ ビタミンEは強い抗酸化作用を持ちます。体内の脂質が酸化すると細胞が老化しますが、ビタミンEの作用で過酸化脂質の生成を防ぎます。加齢で硬くなる血管を健康に保つ、悪玉コレステロールの酸化防止、赤血球の破壊を防ぐ、老化を防ぐといった効果があります。動脈硬化や肌のシミ、シワが発生しやすくなることが、ビタミンEの欠乏症状です。 カニに含まれるミネラルの効果 亜鉛で味覚の維持 亜鉛は味覚の鋭さを保つために必要なミネラルです。亜鉛不足が続くと味覚障害が生じることがあります。私たち日本人の亜鉛摂取量は不足気味であることが近年明らかになりました。普段の食事に加えてカニなど亜鉛が豊富な食材を定期的に取り入れることが重要です。味覚機能の維持だけでなく、高齢者で問題になる褥瘡の防止や免疫機能、解毒機能を担う多機能なミネラルなので積極的に摂りましょう。 銅で血液生成を助ける 銅は私たちが生きていくために必要なごく基本的な機能に関与するミネラルです。エネルギーの産生、鉄の代謝、細胞を傷つける活性酸素の除去といった細胞レベルの働きで体を健康に保ちます。銅が欠乏すると、貧血、成長障害、感染症に罹りやすくなる、コレステロールや糖の代謝異常が生じることがあります。 カルシウムで骨を丈夫にする カルシウムは骨を強くする作用だけが目立ちますが、他にも重要な役割を担います。骨や歯の材料になるだけでなく、精神の安定、筋肉の収縮、体液のバランスを保つ、血液凝固促進、抗アレルギー作用など生命維持のために中心的な役割を果たしています。乳製品や魚を食べない人で不足しやすいので、意識的に摂取する必要がある栄養素の一つです。 カニに含まれる栄養素の役割 タンパク質は体を作る カニに豊富なタンパク質は言わずと知れた体の構成成分です。タンパク質の構成成分はアミノ酸です。20種類のアミノ酸のうち、9種類のアミノ酸をヒトは合成できないので、食べ物から摂取する必要があります。合成と分解を繰り返しているので、毎日タンパク質を食べる必要があります。 ミネラルで体の機能を調節する 食品に含まれる量はごくわずかですが、少ない量で体に必要な機能を果たすのがミネラルです。亜鉛、銅、カルシウムがカニに多く含まれますが、いずれのミネラルが不足しても健康は成り立ちません。 タウリンで滋養強壮 タウリンはアミノ酸の一種で、私たちの体の中に豊富に存在します。肝臓や心臓が障害されるのを抑制する効果が知られています。肝臓の働きを促すため、タウリンと言えば滋養強壮の効能でドリンク剤やサプリとして出回っています。 アスタキサンチンで老化を防ぐ アスタキサンチンは赤橙色を示す色素成分です。カニをはじめ、エビや鯛、鮭の色もアスタキサンチン由来です。優れた抗酸化作用や過酸化脂質の生成抑制を行うので、老化を防ぐ栄養成分だと言われています。生活習慣病発症の引き金となる、血糖値を下げるホルモンのインスリンが効きにくくなるのを抗酸化作用により抑制しています。 カニを食べるのがおすすめな人 ダイエット中の人 低糖質、低脂質、低カロリーなカニはダイエットの味方です。食事量を減らすだけのダイエットをすると、停滞期から抜け出すのが難しくなります。タンパク質不足で筋肉量が減り、基礎代謝が落ちることで、消費エネルギー量が少なくなるからです。必要な量を食べて、運動するのがダイエットの大原則なので、カニをタンパク源にしてリバウンドしづらい減量をしてみてはいかがでしょうか。 アンチエイジングしたい人 ビタミンE、タウリン、アスタキサンチンなどカニには、優れた抗酸化作用を持つ栄養成分が含まれています。さらに皮膚炎を防ぐナイアシンや肌の構成成分のタンパク質も豊富です。加齢によるシワやシミ、たるみの原因は細胞の老化すなわち酸化が主な原因です。内側から老化を防げるうえに、美味しく贅沢な気分も味わえるので、カニはアンチエイジングにうってつけの食材です。 筋肉をつけたい人 ボディメイクに励む方にとって最大の敵は脂質です。筋肉を付けるには、タンパク質をたっぷり摂らなければなりませんが、肉からのタンパク質摂取にはそれなりの量の脂質がおまけでついてきます。タンパク源としてささみだけでなくカニも取り入れると食事が楽しみになるので、トレーニングを頑張れるのではないでしょうか。 カニの栄養成分を効率よく取り入れる食べ方3選 汁ごと食べて水溶性ビタミンを丸ごと摂取する ビタミンB12やナイアシンは水に溶ける性質を持つビタミンです。この2つの栄養成分を逃さず摂取するには、汁ごと食べるような料理がおすすめです。カニの味噌汁、カニ鍋からのカニ雑炊でいただくと美味しく効率的にカニを味わえます。 大豆と合わせてタンパク質の質を上げる カニにはタンパク質が豊富に含まれていますが、より良質なタンパク質と合わせて食べることでさらに効率よく吸収と利用が可能になります。アミノ酸のバランスが良い豆腐や豆乳と組み合わせて食べることで、タンパク質の質が高まります。 食物繊維と合わせてタウリンの効果を上げる タウリンには、動脈硬化の原因となるコレステロールを減らす作用があります。食物繊維にもコレステロールを吸着して排泄させる働きが期待されているので、2つを組み合わせて食べることで脳や心臓の血管が障害されるのを防ぐ可能性が高まります。野菜や海藻と合わせて食べると美味しさも向上し、一石二鳥です。 カニの栄養学まとめ カニは美味しいだけでなく、タンパク質の豊富さや抗酸化物質の含有など体に嬉しい効果が盛り沢山です。食べるプロテイン、サプリとしてカニを試してみてはいかがでしょうか。