地域ごとのおせちの特徴【47都道府県の中身を完全網羅】2023.07.15
おせちの中身は、地域によって異なります。
日本全国のご当地おせちを知っている人は、少ないのではないでしょうか。
ちなみに、全国共通の定番具材は存在しません。
黒豆・数の子・かまぼこの3種類が、比較的多くの地域で使われる程度です。
本記事では「地域ごとのご当地おせち」について、詳しく解説します。
47都道府県ごとの特徴を網羅した、ご当地おせちの完全版です。
最後まで読めば、親族の出身地がバラバラでも心配ありません。
「いろいろな地域のおせちを用意したい」という人は、最後まで読んでみてください。
地域ごとのおせちの特徴【47都道府県を完全網羅】
おせちの中身は地域によって異なりますが、すべてが違うわけではありません。
その土地ならではの食材や郷土料理が、何品か入っています。
自分では定番だと思っていたおせち料理が地域特有のものだった、という経験もあるでしょう。
「家族や親族の出身地の味を再現したい」という人のために、地域ごとのご当地おせちを紹介します。
北海道のおせち
海に囲まれた地域なので、魚介類をふんだんに使ったおせちが定番です。
北海道では「トシトリ膳」と呼ばれ、通常のおせちに刺身・茶碗蒸し・生菓子が付きます。
北海道 | 氷頭なます | 鮭の頭にある軟骨を薄切りにして、なますにしたもの |
北海道 | 栗入り茶碗蒸し | 栗の甘露煮が入った茶碗蒸し |
北海道 | つと巻き | なるとの一種で切り口が「つの字」になっている |
東北地方のおせち
海の幸を贅沢に使ったおせちが特徴です。
ウニやアワビなど、高級食材を使う地域もあります。
青森県 | いちご煮 | ウニとアワビが入ったお吸い物(潮汁) |
岩手県 | 紅葉漬(こうようづけ) | 鮭の身といくらを醤油漬けにしたもの、紅色が鮮やかなので「紅葉漬」と呼ばれる |
宮城県 | ナメタガレイの煮付け | 縁起物である子持ちカレイを切り身にして煮付ける |
秋田県 | ハタハタ寿司 | ハタハタを酢と塩などの調味料に漬け込み、野菜と一緒に発酵させたもの |
山形県 | 鯉のうま煮 | 新鮮な鯉を輪切りにし、酒・砂糖・醤油などで甘辛く煮たもの |
福島県 | いかにんじん | 細切りにしたスルメイカと人参を醤油・酒・みりんで味付けしたもの |
関東地方のおせち
砂糖を多用し、甘く仕上げるのが特徴です。
醤油を染み込ませた濃いめの味付けで、保存性を高めています。
茨城県 | フナの甘露煮 | 尾頭付きのフナを砂糖と醤油でじっくり煮詰めたもの |
栃木県 | 水羊羹 | 栗を入れるなどして、色鮮やかに仕上げる |
群馬県 | 干し大根なます | 千切りにした人参やゆずの皮を、干した輪切りの大根で巻いて酢漬けにする |
埼玉県 | くわいの煮物 | くわいを塩や醤油・酒・みりん・砂糖・色付け用のくちなしの実で煮て、煮汁ごと冷ましたもの(含め煮) |
千葉県 | 海藻こんにゃく | コトジツノマタという海藻を煮込んで、型に入れ冷やし固めたもの |
東京都 | 伊達巻 | 卵と魚のすり身に砂糖を混ぜて焼いたもの |
神奈川県 | きんぴらごぼう | 唐辛子をきかせるのが特徴 |
中部地方のおせち
地域ごとの名産品や郷土料理が、多く使われています。
聞き慣れない料理があるかも知れません。
新潟県 | のっぺ | 里芋をメインに根菜類・きのこ・ホタテや塩鮭などを出汁でサッと煮て、とろみをつけたもの |
富山県 | 五箇山(ごかやま)豆腐 | 縄で縛っても崩れないほど硬いのが特徴で、おもに煮物にする |
石川県 | べろべろ | 溶き卵に砂糖と醬油を加えて、寒天で固めたもの |
福井県 | 長寿なます | 白ごま・味噌・砂糖・厚揚げ・からし・酢をよくすってペースト状にし、大根や人参などを和えたもの |
山梨県 | アワビの煮貝 | 肝はひと口大に切るか、マヨネーズと和えてソースにする |
長野県 | 長芋羊羹 | 蒸した長芋をすりおろし、砂糖を加えて寒天で固めたもの、さほど甘くない |
岐阜県 | 焼きいわし | 大きないわしを使用し、両面に焼き色が付くまで焼く |
静岡県 | ブダイの煮付 | 丸ごと一尾を酒・砂糖・醤油で煮付ける、見栄えのために内臓を抜いた腹に大根を詰めるのが特徴 |
愛知県 | ハゼの甘露煮 | 三河湾で獲れたハゼを素焼きにして、名産のたまり醤油と砂糖で甘辛く煮詰めたもの。 |
近畿地方のおせち
出汁をきかせたあっさり味が特徴です。
濃いめの味付けをする関東のおせちと、よく比べられます。
三重県 | 煮なます | なますの具材を昆布と一緒に、砂糖・酢・醤油で汁気がなくなるまで煮たもの |
滋賀県 | 赤こんにゃく | 特産品の赤こんにゃくを油なしで炒め、花かつお・みりん・醤油を染み込ませたもの |
京都府 | 棒鱈(ぼうだら)の煮物 | 水で戻した棒鱈を出汁・酒・みりん・砂糖・醤油でコトコト煮込んだもの |
大阪府 | にらみ鯛 | 鯛の姿焼き、3日間は手を付けずに飾っておくのが通例 |
兵庫県 | 黒豆煮 | 最高級品といわれる丹波の黒大豆を、塩・砂糖・醤油などでじっくりと煮る |
奈良県 | 柿なます | 紅白なますに柿の実を混ぜたもの 基本は干し柿を使うが、生の柿でも美味しい |
和歌山県 | ぼうり | 餅の代わりに里芋を入れた雑煮、出汁に砂糖や醤油を加えた濃いめの味付け |
中国地方のおせち
地域特有の魚介類を使ったおせちが特徴です。
有名な高級魚や、地元ならではの珍しい魚が使われています。
鳥取県 | 小豆雑煮 | 丸餅と小豆をやわらかく煮たぜんざい風の雑煮 |
島根県 | ワニ(サメ)の刺身 | 新鮮なサメの刺身を、臭み消しの生姜醤油や砂糖醤油で食べる |
岡山県 | ママカリの酢漬け | ニシン科の魚「ママカリ」を酢で締めたもの 頭と内臓を取り、腹開きにして背骨を取る |
広島県 | くわいの甘煮 | 茹でたくわいを出汁・みりん・砂糖・くちなしの実で煮て、ひと晩浸したもの |
山口県 | フグ | 刺身・鍋・唐揚げ以外に、うま煮やかまぼこにする |
四国地方のおせち
地元に伝わる郷土料理が多く、関東では馴染みのないものばかりです。
大皿に盛り付けられた、オードブル風のおせちを出す地域もあります。
徳島県 | おでんぶ | 黒豆や金時豆を野菜と一緒に出汁で煮たもの 油揚げ・昆布・高野豆腐を加えることもある |
香川県 | あんもち雑煮 | 白味噌に大根・人参・あんこ入りの丸餅を入れたもの |
愛媛県 | じゃこ天 | 小魚の身・皮・骨をすべてすりつぶし、調味料を加え油で揚げたもの |
高知県 | 皿鉢(さわち)料理 | 大皿にいろいろな料理を盛り付けた郷土料理 各自が好きな物を自由に取り分けられる |
九州地方のおせち
地域の名産を使ったおせちが特徴です。
海が近いため新鮮な魚介類が手に入りやすく、旬の魚をつかった料理が多く見られます。
福岡県 | 鰤(ぶり) | 出世魚のぶりを刺身・照り焼き・塩焼きなどにする |
佐賀県 | アラ(クエ) | 冬が旬の高級魚クエを刺身・から揚げ・鍋にする |
長崎県 | クジラ | 湯引きやなますなどで食べる |
熊本県 | 辛子れんこん | 和からしと味噌を混ぜ合わせれんこんの穴に詰め、衣を付けて揚げたもの |
大分県 | がめ煮 | 筑前煮の別名 いろいろな根菜と鶏肉を炒めてから煮含める |
宮崎県 | 金柑(きんかん)の甘露煮 | へたを取って十字に切り込みを入れた金柑を、水と砂糖で30分~1時間煮たもの |
鹿児島県 | こが焼 | 魚のすり身に卵・豆腐・砂糖を混ぜ、蒸してから焼いたもの |
沖縄県のおせち
おせちの文化がない沖縄では、御三味(うさんみ)と呼ばれます。
「豚正月」と言われるほど、豚肉を使った料理が特徴です。
沖縄県 | 田芋田楽(ターンムディンガク) | 田芋を栗きんとんのように甘く練り上げたもの 田芋とは水田で栽培する里芋のこと |
沖縄県 | 中身汁(なかみじる) | 豚の大腸・小腸・胃袋を具材にしたすまし汁 中身とは内臓のこと |
沖縄県 | サーターアンダギー | 小麦粉・卵・砂糖をこねて揚げた沖縄風ドーナッツ カボチャや人参などを混ぜたカラフルなものもある |
関東と関西のおもな違いは、下記のとおりです。
・祝い肴の中身
・おせちに入る魚
・調味料や味付け
・重箱の詰め方
同じ関東・関西圏でも、地域によって中身が違うことがあります。
祝い肴三種の違い
数の子と黒豆は共通していますが、残り1品が関東と関西で違います。
・関東:田作り(たづくり)
・関西:たたきごぼう
関西では田作りではなく「ごまめ」と呼び、祝い肴以外で使われます。
たたきごぼうは、室町時代から関西地方に伝わる料理です。
大阪の「高山ごぼう」や京都の「八幡ごぼう」など、関西には有名なごぼうの産地があります。
関東と関西では、黒豆の煮方も違います。
シワシワになるまで煮る関東風に対して、サッと煮てツルツルのまま仕上げるのが関西風です。
おせちに使う魚の違い
関東では鮭、関西では鯛や鰤(ぶり)がおせちに入ります。
関東と関西というより、東日本と西日本の違いといえるでしょう。
地域によって、獲れる魚が異なるからです。
鮭漁が盛んな北海道や東北地方は新巻鮭が主流で、西日本では漁獲量の多い鯛や鰤がおせちに使われます。
【おもな漁獲地域】
・鮭:北海道・青森県・岩手県
・鯛:長崎県・福岡県・愛媛県
・鰤:長崎県・島根県・千葉県
味付けの違い
おせちの具材は同じでも、味付けが異なります。
・関東:砂糖を多用した甘い味付け
・関西:出汁をきかせた薄味
濃口醬油と砂糖を使って、甘辛く煮るのが関東風。
甘く味付けされた「栗きんとん」や「伊達巻」は欠かせません。
対して、色が付かないよう薄口醤油で味付けし、出汁にこだわるのが関西風。
あっさりと味付けされた「エビ」や「くわい」の煮物が好まれます。
重箱の詰め方の違い
関東も関西も重箱を使いますが、盛り付け方が大きく違います。
・関東:ぎっしり詰める「重詰」
・関西:四隅をあけて盛る「重盛」
関東のお重は隙間に田麩(でんぶ)などを入れ、ぎっちりと詰めます。
持ち運ぶことを前提としており、揺らしても崩れないようにするためです。
一方、料理をきつく詰めるのを好まない関西では、適度に隙間をあけるのが基本。
門松や鏡餅などに飾られる「ウラジロの葉」を敷き、美しく盛り付けます。
全国共通のおせちはない【地域特有の具材を手に入れる方法】
全地域のおせちに使われている具材は、ありません。
黒豆・数の子・かまぼこは多くの地域で使われますが、全国共通とまではいえないのです。
家族や親族の出身地のおせちを再現するには、地域特有の食材を仕入れるところから始める必要があります。
ご当地おせちを確実に入手するなら、通販サイトがおすすめです。
地域ごとに、地元の食材を使ったおせちを販売する業者があります。
いろいろな地域の具材を詰め合わせたい場合は、材料だけを通販で仕入れるとよいでしょう。
ネットで検索すれば、作り方も見つかるはずです。
食べ慣れた地元のおせちが入っていれば、家族や親族もきっと喜んでくれるでしょう。