美味しくて安全なのはどっち?国産のカニと外国産のカニを徹底比較!2022.07.11

国産のカニと外国産のカニ、美味しそうな方はどちらかと聞かれると、なんとなく国産を選ぶ方が多いのではないでしょうか。
国産と外国産の違いは何なのか、それぞれの長所と短所はどこかを詳しくご紹介するので、カニの原産地選びに役立ててみてください。
今回の内容を踏まえて、日本の高品質なカニを味わうと、より美味しく感じられるかもしれません。

国産のカニと外国産のカニの違い

漁の方法が違う

ロシア、アラスカの諸外国と日本では漁のやり方が異なります。
ロシアとアラスカに面するベーリング海でのカニ漁は海で最も過酷な仕事と言われるほどハードです。
北極圏に位置する漁場なので、気温が氷点下を上回ることはありません。

強風が吹き荒れ、10メートルを超える高波で大荒れという危険な状況のもと、限られた漁の解禁期間内でカニ漁を行います。
漁獲量は日本よりロシアやアラスカの漁の方が多いです。
しかし、日本で行われるカニ漁も、一度海に出ると30時間は陸に戻れない、体力や精神の限界と向き合わねばならないといった過酷さがあります。

海の状況が違う

世界中の海はつながっていますが、海域によって特徴が異なります。
海水温、海底の地形、海洋生物のエサとなるプランクトンの量、塩分濃度、潮の流れ、溶存酸素量などの要素でカニの育ちやすさに差が現れます。
海の状況が違えば、同じ種類のカニであっても、身入りや食感、味に差が生まれます。

食卓に届いた際の鮮度が違う

当たり前と言えばそうですが、国内で獲れたカニの方が海外産のカニより輸送距離が近いです。
輸送距離が近ければ、輸送にかかる時間も短いです。
カニは水分とタンパク質が多いので、酸化による品質低下と腐敗が起こりやすく、鮮度保持への努力が欠かせません。
輸送距離が近く、輸送時間が短い国産のカニは、外国産より鮮度が良いことが多いです。

国産と外国産カニの漁法の違い

カニかご漁

カニかご漁は日本国内でも海外でも行われている漁法です。
しかし、漁の規模が異なります。
日本のカニかご漁で使用するかごは直径およそ120センチメートル、高さ70センチメートルほどの円錐台形で、金属枠に網を張ったものです。
一方、ベーリング海では重さ500 キログラムもある大きな金属のかごを使うので1回の漁獲量が非常に多いです。
日本のカニかご漁には、カニを傷つけずに漁獲できる、小さなカニを網目から逃がせる、砂が甲羅に入るのを防ぐなどのメリットがあります。

刺し網漁法

海中に投げ入れた網を垂直になるように沈めて行うのが刺し網漁法です。
刺し網漁法は関係機関によって厳しく管理されており、漁獲時期や漁が許される水深などが定められています。
日本では家族総出で網にかかったカニを丁寧に取り外しています。
大規模な漁を行う外国のカニ漁には不向きな漁法です。

底曳き網漁


日本の底曳き網漁は、水深100から600メートルの海底に網を下ろし、1000から2000メートルのロープで引き上げます。
アラスカ湾やベーリング海でも底曳き網漁が盛んに操業されています。
1から3万トン級の大型船を中心に、付属漁船を配属した船団で大規模な漁を行います。

漁場のプランクトンの生息状況が違う

暖流と寒流が交わる日本海はプランクトンが豊富

日本海はリマン海流と対馬海流がぶつかる海です。
寒流と暖流が交わるところではプランクトンが豊富になります。
また、日本海の水深が深いところには、日本海固有水という酸素を多く含んだ水温0から1度、塩分約3.4パーセントの水の塊が存在します。
海水中にプランクトンと酸素が多いとカニたちにとって生息しやすい環境になります。

ベーリング海は大陸棚の縁にプランクトンが多い

ベーリング海峡の水深は50メートルより浅いです。
海峡が開いたり閉じたりするのを大昔から繰り返していたため環境の変化が激しく、ベーリング海の海域はプランクトンの一種である珪藻が多く生息するようになりました。
ベーリング海の3分の1を占める水深200メートル以下の大陸棚はプランクトンが豊富なので、カニにとって最高の生育環境です。

流氷がもたらすオホーツク海のプランクトン

オホーツク海はプランクトンが多いので、水産資源が豊かな海域として世界中に知られています。
オホーツク海の流氷の下では小さなプランクトンが増殖しており、氷が溶ける春になると海水中に食物プランクトンたちが放出されます。
また、流氷が移動することで、栄養たっぷりな海の底の海水が表層に持ち上げられるので、海水自体の栄養価も向上します。

カニの鮮度が良いと美味しい理由

不快な臭いがしない

水産物は水揚げ後の時間の経過とともに鮮度が落ち、生臭い臭いを発生させます。
トリメチルアミンは水産物の生臭さの原因物質として知られていますが、カニらしい匂いの成分でもあります。
トリメチルアミンは水揚げ後の時間経過に比例してその量が増加する傾向にあるので、鮮度が良いと不快な臭いが発生することが減るのです。

旨味と香りが保たれる

カニが持つ核酸は水揚げ後、熟成して旨味物質のイノシン酸に変化します。
さらに時間が経つと、イノシンやヒポキサンチンといった腐敗物質になってしまいます。
鮮度が良ければ、イノシン酸の段階で食卓に届けられるので旨味を存分に味わえます。
また、腐敗物質が増えるまでに食べられるので、安全性も高いです。

身が引き締まった良い食感を維持できる

水揚げから時間が経つと、カニ自身が持つ酵素によって身が分解されます。
新鮮であればあるほど身の食感はプリプリです。

鮮度が良いとタンパク質の分解を最小限に抑えられるので、身が引き締まった食感をキープできます。

3国のカニそれぞれのメリット

国産(北海道産)のカニのメリット

漁師さんや加工場の方の仕事が丁寧なので、国産のカニは品質が高いです。
カニの価値が落ちないよう丁寧に、鮮度を落とさないよう素早く運んで加工します。
急速冷凍の技術も日々向上しているので、お取り寄せしても獲れたてのカニを味わえます。

アラスカ産のカニのメリット

大規模な加工場が港に隣接している場合が多いです。
漁期が限定されているため、繁忙期は工場を24時間稼働させて品質が安定したカニを出荷しています。
鮮度が命であることは、どの国のカニでも共通です。
しかし、海外では日本と違いカニみそを食べる文化がないので、甲羅は捨ててカニの脚だけを加工します。
これにより、スピード感のある加工を可能にしています。

ロシア産のカニのメリット

ロシア産のカニは国産より低価格です。
一昔前、ロシアの冷凍技術は発達しておらず、緩慢な冷凍でカニを凍らせて日本まで運んでいました。
さらに、品質管理も杜撰だったので、温度管理が厳重に行われることはなく、解凍と再冷凍を繰り返すようなこともあったようです。
まさに安かろう悪かろうといった具合でした。
現在は冷凍技術や品質管理の指導が行き届いたことで、ロシア産カニの美味しさが向上しました。
ロシアの人件費は安いので、国産のカニより安い価格で買えます。

3国のカニそれぞれのデメリット

国産(北海道産)のカニのデメリット

国産カニの美味しさに関するデメリットは皆無です。
ひとつデメリットを挙げるとすれば、価格が高いことです。
しかし、カニ漁は一度海に出たら数日間陸に帰れない、危険と隣り合わせの重労働のもとで成り立っています。
加工のための最新設備にもコストがかさみます。
このような背景を考えるとカニが高級食材である理由がよく分かります。
漁師さんから直接買い付ける通販ならば、仲介業者が少ないことで、お値段以上のカニを手に入れやすくなります。

アラスカ産のカニのデメリット

アラスカ産のカニは国産カニと比較して、加工の素早さや丁寧さに劣ることが多いです。
一度陸上の加工工場へ持ち帰り浜茹でや冷凍を行います。
北海道やアラスカ、ロシア産のカニは近い海域で漁獲されるので、カニ自体の味に優劣はつきにくいです。
しかし、加工の段階で品質や美味しさに差が開いてしまいます。
アラスカ産でも生食用を選ぶと鮮度が高いので、より美味しいカニを手に入れられます。

ロシア産のカニのデメリット

ロシア産のカニは漁獲して船内の加工設備で冷凍される場合が多いです。
素早く冷凍することはできますが、船の中に大掛かりな凍結機器を設けるのは難しいので、中心部まで短時間のうちに冷凍できる方法は取りにくいです。
細胞の破壊が進んでしまうことで、美味しさが損なわれている場合があります。

国産のカニと外国産のカニ徹底比較まとめ

国産と外国産のカニでは、漁法や加工方法に違いがあります。
素早く丁寧な加工を行うことで、旨味や香り、食感に優れたカニになるので、その点では国産のカニがおすすめです。
是非、鮮度が高く高品質な国産のカニを味わってみてください。