紅ズワイガニが出回る時期【旬や漁期を料理人が詳しく解説】2023.03.8

紅ズワイガニが出回る時期は、あまり知られていません。
ズワイガニと比べて漁期が長いため、漁の解禁が話題にならないからです。

 

本記事では、紅ズワイガニの最盛期や旬の時期を詳しく解説します。
最後まで読めば、どの時期でも常に美味しい紅ズワイガニを手に入れられます。

 

現役料理人イチオシの食べ方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

結論から言うと、紅ズワイガニは時期に関係なく1年中出回ります。
産地ごとに旬や漁期が違うため、常にどこかの港で水揚げされるからです。

 

「どの時期にどこの紅ズワイガニが美味しくなるのか」を知っておくと失敗しません。

 

紅ズワイガニの基礎知識を知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
紅ズワイガニとズワイガニの違い

紅ズワイガニが出回る時期|産地ごとに違う旬と漁期

紅ズワイガニが出回る時期(旬や漁期)は、産地によって異なります。
気候や地形が違うため、産卵期や繫殖期がずれるからです。

 

紅ズワイガニの漁期

産地によって漁期が異なるため、結果的に通年漁獲されます。
漁獲していい大きさやメスの全面禁漁など、資源保護のため厳しい規制があります。

 

 

周辺を海に囲まれた北海道は漁場が豊富で、漁場ごとに漁期が違います。
常にいずれかの漁場で紅ズワイガニが獲れるため、どの時期も北海道産が揚がります。

北部は夏から翌年の春頃、南部は春から夏頃までが漁期です。

  • 利尻・礼文島(れぶん)~茂津多岬(もったみさき):7~4月
  • 茂津多岬~松前大島周辺:4~8月

紅ズワイガニが美味しい時期

味だけでいえば、どの時期でも大きな差はありません。
紅ズワイガニが生息する深海には四季がなく、環境の変化がほとんどないからです。

 

ただし、紅ズワイガニは傷みやすいため、漁獲後の鮮度管理がかなり重要です。
基本的に日本海側は気温が低いですが、やはり寒い時期のほうが鮮度を保ちやすくなります。
味は通年同じでも鮮度が落ちにくいぶん、寒い時期が美味しいといえるでしょう。

 

時期だけで選ぶなら、1~2月に北海道で獲れるものがおすすめ。
極寒の北海道で育った紅ズワイガニは、味・鮮度ともに抜群です。

 

紅ズワイガニの名産地

主な産地は北海道北部から山陰地方の、日本海側に集中しています。
紅ズワイガニが生息するのに適した、水深1000m以上の低温海域が多いからです。

 

有名なのは「香住ガニ(かすみがに)」で知られる兵庫県香住港や「カニかご漁発祥の地」である富山県など。
カニ王国北海道ではズワイガニといったら紅ズワイガニを指すほど、各地で漁が盛んです。

 

カニかご漁とは、深海に生息する紅ズワイガニを獲るために編み出された漁法です。
餌を入れたかごを海底におろし、カニが入るのを待ちます。
底引き網漁のように引きずらないため、カニが傷付きません。

 

紅ズワイガニの特徴|味や安くなる時期を詳しく解説

茹でる前から赤いので紅ズワイガニと呼ばれ、深海の水圧を逃がすため殻がやわらかくできています。

 

【紅ズワイガニの特徴】

  • 甘みが強い
  • 水分が多い
  • 殻がやわらかい
  • 身入りが少ない
  • 他のカニより安い

 

むき身などの加工品で流通することも多く、カニグラタンやカニクリームコロッケの原料にもなります。
加工の際に捨てられる大量の殻からは「キチン」や「キトサン」という物質がとれ、医薬品や健康食品などにも利用されています。

 

メスは全面禁漁のため、市場に流通するのはオスのみです。

紅ズワイガニの味

ズワイガニよりも安価ですが、甘みは紅ズワイガニのほうが強いです。
水分が多い身は、やわらかくてジューシー。

 

殻がやわらかいので調理しやすく、食べやすい点がズワイガニと違います。
カニ味噌はやや水っぽさが残りますが、濃厚な味わいはズワイガニに劣りません。

 

厳しい漁獲規制などが功を奏し、近年は身入りのよい紅ズワイガニが増えました。
身入りの悪いカニはほぐし身で販売する(姿で売らない)など、選別もかなりしっかりしています。

 

紅ズワイガニが「安かろう悪かろう」だった時代はもう過去の話です。

購入する際の値段の目安

通販などで購入する際の目安は、1㎏5,000円ほど。
生の姿や「香住ガニ」などのブランドガニは、もっと高価です。

 

海の幸は漁獲量が増える時期は安くなる傾向があり、紅ズワイガニの場合は産地によって時期が異なります。
漁の最盛期を旬とする地域が多く、1年でもっとも漁獲量が増えるため値段も下がります。

 

【産地ごとの旬(最盛期)】

 

幻の希少種「黄金ガニ」

ズワイガニと紅ズワイガニが交配して産まれる、珍しいカニのこと。
水深400〜600mはズワイガニと紅ズワイガニの両方が生息するため、まれに交雑種が産まれるのです。
水揚げされるのは数千匹に1匹の割合で、黄金のように希少価値が高いことから「黄金ガニ」と呼ばれます。

 

黄色に近いオレンジ色の見た目で、味も両者のよさを併せ持つため人気です。
紅ズワイガニのような強い甘みがあり、ズワイガニのようにぎっしり身が詰まっています。
濃厚なカニ味噌はクセがなく、さっぱりとした後味です。

 

紅ズワイガニのおすすめの食べ方|現役料理人が解説

水分が多い紅ズワイガニは、茹ガニが一般的です。
刺身などの生食は味がぼやけ、カニの旨みがあまり感じられません。
しゃぶしゃぶ程度に熱を通すことで、より甘みが増します。

 

水分が多いため、冷凍にも向きません。
解凍時に大量の水分と一緒に、旨みたっぷりのカニエキスが流出するからです。

 

定番の茹でガニ

  1. 紅ズワイガニ1杯が丸ごと入る大きさの鍋で、たっぷりお湯を沸かす。
  2. 沸騰したら3%の塩を入れる(3.000mlなら90g)。
  3. 甲羅を下にしてカニを入れる(仰向けにする)。
  4. 再沸騰してから15分ほど茹でる。
  5. 甲羅を下にしたまま粗熱をとる。

 

5分ほど氷水に浸けると、引き締まって身離れがよくなります。

 

大きい紅ズワイガニの場合は、長めに茹でましょう。
茹で時間が短いとカニ味噌が固まらず、流れ出てしまいます。
カニ味噌がこぼれないよう、食べるときも甲羅を下にしてください。

旨みたっぷりのカニ飯

味のポイントは、カニの殻でとった出汁を使うこと。
紅ズワイガニの殻はやわらかいので砕きやすく、殻に含まれるカニエキスをたっぷり抽出できます。

 

カニの殻で出汁をとる以外は、通常の炊飯とほぼ同じです。
紅ズワイガニ自体に塩味があるため、味付けは塩だけで十分。

 

  1. 殻を小さくカットする
  2. 殻を炒って香りを出す
  3. 酒を振って臭みを飛ばす
  4. 水を殻が被るくらい入れる
  5. 沸騰してアクが出たらとる

 

殻の断面が広いほど、カニエキスがたくさん出ます。
キッチンバサミで、縦や斜めに大きくカットしましょう。
茹でガニを使う場合、カニの身を炊き上がりに加えるとパサつきません。

 

寒い時期にピッタリのカニ鍋・カニしゃぶ

生ガニか茹でガニかで、鍋に入れるタイミングを変えるのがコツ。

 

生紅ズワイガニの場合は、早めに入れてある程度加熱し甘みを引き出します。
茹で紅ズワイガニの場合は、食べる直前に入れて温める程度で引き上げましょう。
加熱し過ぎると、旨みが抜けてパサつきます。

 

初めからカニ鍋・カニしゃぶ用に加工された生の紅ズワイガニがおすすめ。
カニのプロによる、最適な下処理が施されているからです。
お店ごとに、独自のタレや出汁が味わえるのも醍醐味です。

 

紅ズワイガニを選ぶならカニ通販がおすすめ

美味しい紅ズワイガニの選び方は3つ。

  • 触って硬いもの
  • もって重いもの
  • 茹でてから時間がたっていないもの

 

脱皮から半年以上たった「堅ガニ」は甲羅が硬く、身が詰まっています。
冷凍品の場合、重さはあまりアテになりません。
氷の膜に覆われているため、カニ自体の重量より重い場合があるからです。
紅ズワイガニは鮮度が落ちやすく、茹でた後も劣化が進みます。

 

紅ズワイガニ選びで失敗しないためには、信頼できるカニ通販サイトをひとつ見つけておくとよいでしょう。
プロの視点で、良質なカニを選んでもらえるからです。
仕入れから販売までを一括しているカニ専門店がおすすめ。

 

紅ズワイガニの購入は旬といわれる最盛期がおすすめ

紅ズワイガニは通年出回りますが、産地ごとに旬の時期が異なります。

 

漁の最盛期を旬とする地域が多く、味自体はほぼ1年中変わりません。
紅ズワイガニが生息する深海には四季がなく、環境の変化がないからです。
ただし、寒い時期のほうが鮮度を保ちやすいです。
最盛期には漁獲量が増えるため、値段が安くなります。

 

紅ズワイガニのおすすめの食べ方は次の3つです。

  • 茹でガニ
  • カニ飯
  • カニ鍋・カニしゃぶ

 

水分が多いため、生食には向きません。
冷凍品は、解凍時に大量の水分と一緒に旨みも抜けます。

 

紅ズワイガニの購入はプロによる確かな選別と下処理ができる、カニ専門店がおすすめです。