【超簡単】タラバガニとズワイガニの違いを現役料理人が解説2023.02.3
食べたことはあっても、両者の違いをすべて言える方は多くないでしょう。どちらもカニの代表格ですが、味も値段もまったく違います。
本記事では、タラバガニとズワイガニの違いをわかりやすく解説します。現役料理人が教えるおすすめの食べ方も、参考にしてみてください。
結論から言うと、タラバガニとズワイガニの大きな違いは3つです。
・見た目
・味と食感
・販売価格
最後まで読めば、タラバガニとズワイガニを即座に見分けられるようになります。どちらも大変美味しいカニです。味や料理法の違いを知ることで、それぞれの魅力をより引き出せます。
タラバガニとズワイガニの違い【見た目・味・価格を徹底比較】
目次
両者には分類学上の大きな違いがあります。
タラバガニは「十脚目(エビ目)・異尾下目(ヤドカリ下目)・タラバガニ科・タラバガニ属」で、分類学上はヤドカリの仲間になります。
ズワイガニは「十脚目(エビ目)・短尾下目(カニ下目)・ケセンガニ科・ズワイガニ属」で、れっきとしたカニの仲間です。
見た目(脚の数と甲羅の大きさ)の違い|タラバガニとズワイガニの見分け方
タラバガニとズワイガニの見た目の違いは、脚の数と甲羅の大きさです。
タラバガニ
・脚の本数:8本
・甲羅の大きさ:幅25㎝ほど
全体的をトゲで覆われているのが特徴です。外見上8本脚ですが、小さな脚が甲羅の下に隠れているだけで実は10本脚。オスのほうが太く長く、脚を左右に広げると1mに達します。
大きなタラバガニで寿命が30年もあり、甲羅が20cm以上に成長するのに16~17年ほどかかります。
ズワイガニ
・脚の本数:10本
・甲羅の大きさ:大きいもので幅14cmほど
タラバガニと比べ甲羅が小さく、丸みを帯びた三角形が特徴です。脚が極端に長く、左右に5本ずつ計10本あります。オスとメスで大きさが違い、オスは倍ほどの大きさに成長します。
味・食感・カニ味噌の違いを比較
タラバガニとズワイガニは、味・食感とも大きく違います。
タラバガニ
・味:淡泊な味わいで加熱すると甘みが増す
・食感:プリプリの食感で食べ応えがある
・カニ味噌:ほとんど入っていない
主な可食部は極太の脚肉で、繊維質な身は抜群の歯ごたえです。食べ応えが十分で、カニを食べたという満足感を味わえます。
タラバガニのカニ味噌は少量なうえ、加熱しても固まらないため流れ出てしまいます。メスの場合、内子(卵巣)は美味で外子(受精卵)はあまり美味しくありません。
ズワイガニ
・味:甘みと旨みが強い
・食感:やわらかくて繊細
・カニ味噌:たっぷり入っている
脚だけでなく、たっぷり詰まったカニ味噌もズワイガニの魅力です。濃厚なカニ味噌は、加熱することで旨みが増します。
上品な肉質はカニ特有の香りと味が強く、身と味噌の両方を堪能できます。タラバガニと違い、メスの内子も外子も美味です。
値段の違い|相場価格を比較
タラバガニもズワイガニも、オスに高値が付きメスは安価です。
タラバガニ
・平均卸価格:1㎏あたり7,318円(2022年12月時点)
・相場価格:1㎏あたり14,980円ほど
オスの国産タラバは高級品ですが、輸入物でも大きければ高値が付きます。高級食材のため食卓に並ぶことは珍しく、年末年始の風物詩となっています。
ズワイガニ
・平均卸価格:1㎏あたり6,074円(2022年12月時点)
・相場価格:1㎏あたり7,260円ほど
産地によって値段が違い、地域ごとにブランド化したズワイガニが存在します。
参照:東京・豊洲市場の水産市況グラフポータル by GD Freak!
アブラガニとの見分け方
流通するタラバガニ科には、アブラガニという種類が存在します。タラバガニとよく似ていますが、味が劣ると言われています。値段も安いため、タラバガニと偽って販売されることもありました。
両者の大きな違いは2つ。
甲羅にあるトゲの違い
・タラバガニ:甲羅の中心部分に6つのトゲがある。
・アブラガニ:甲羅中央にあるつぼ型の膨らみに、4つのトゲがある。
脚の裏側の色違い
・タラバガニ:脚の裏にも焦げ茶色の部分があり、茹でると赤くなる。
・アブラガニ:脚の裏はほぼ白く、茹でても赤くならない。
まれにトゲの数が4つのタラバガニもいますが、裏側の色で両者を見分けられます。
タラバガニとズワイガニの食べ方の違い【料理人が教えるおすすめの食べ方】
カニの食べ方で一般的なのは4つです。
・カニ刺
・焼きガニ
・茹でガニ
・カニしゃぶ・鍋
刺身や茹でガニならズワイガニ、焼き・茹でガニならタラバガニがおすすめ。しゃぶしゃぶや鍋は、種類に限らず生ガニがおすすめです。
タラバガニのおすすめは焼きガニと茹でガニ
タラバガニは加熱することで適度に水分が抜け、甘みと旨みが凝縮します。身がぎっしり詰まっているので、加熱しても抜群の食べ応えです。
茹でガニは殻をむいて、そのままかぶりつくのがおすすめ。焼きガニの場合は次の3つに注意してください。
・焼き過ぎに注意
・身を上にして焼く
・ひっくり返さない
くれぐれも焼き過ぎには気を付けましょう。生タラバガニは半解凍させてから、茹でタラバガニはサッと炙る程度に焼きます。目安は3~4分で、殻に軽く焦げ目が付いたら食べ頃です。身を下にしたり途中でひっくり返したりすると、旨みたっぷりのカニエキスが流れてしまいます。
カニを焼く際は、フライパンやホットプレートがおすすめ。魚焼きグリルやトースターで焼くと、焼き加減が目視できないため焼き過ぎるからです。アルミホイルを敷けば、タラバガニのトゲでテフロン加工が傷付くこともありません。
ズワイガニのおすすめはカニ刺と茹でガニ
やわらかくて甘みが強いズワイガニは、刺身がおすすめ。大きいオスのズワイガニなら、十分な食べ応えがあります。
カニのもうひとつの醍醐味、カニ味噌を味わうなら茹でガニがおすすめです。ズワイガニはカニ味噌をたっぷり含んでいるため、温めた味噌に脚肉を付けて食べることもできます。メスの内子(卵巣)はそのままでも美味しく、外子(受精卵)は酢醤油やわさび醤油がよく合います。
料理人が教える失敗しないコツ
カニを購入する場合、通販サイトなどで冷凍ガニを購入することが多いでしょう。
冷凍ガニを上手に解凍するコツは「氷水解凍」です。カニは周囲との温度差が大きいほど、旨みを含んだエキスが流れ出しやすくなります。氷水で冷凍ガニとの温度差をなくし、旨みの流出を防ぐのです。水は空気よりも熱伝導率が高いため、冷蔵庫よりも早く解凍できます。
1.カニがすっぽり入る容器に氷水を張る
2.冷凍ガニをビニール袋に入れる
3.水が入らないよう袋の口を容器の外へ出す
4.カニが浮かないよう重石をのせる
5.甲羅や殻に弾力が出てきたら完了
カニは解凍直後から味が落ちるため、完全には解凍しません。
タラバガニとズワイガニの旬の違い【ズワイと紅ズワイの違い】
種類が違えば旬の時期も違います。カニは冬のイメージが強いですが、ヤドカリの仲間であるタラバガニは春先にも旬を迎えます。
ズワイガニと紅ズワイガニの違いについても、詳しく解説します。
旬の時期と漁期の違い
資源保護のため、漁期や漁獲していい大きさなどが厳しく制限されています。
タラバガニの旬
・4~5月・11~2月
・漁期:12~5月
タラバガニの旬は年2回です。春先は産卵期と重なるため漁獲量が増え、秋以降はしっかり身が詰まった「堅ガニ」が獲れます。
ズワイガニの旬
・11~3月
・漁期:オス10~5月・メス11~1月上旬
ズワイガニの漁期は産地や性別によって違います。輸入のズワイガニは日本の漁期に影響されません。
産地の違い|国産と輸入の割合
タラバガニの主な産地
・オホーツク海やベーリング海(北海道・ロシア・アラスカなど)
寒い海域を好むため、日本では北海道でしか漁獲できません。9割近くがロシアからの輸入で、北海道産のタラバガニはかなり希少です。
ズワイガニの主な産地
・オホーツク海や日本海(北海道・兵庫県・鳥取県・福井県など)
タラバガニと違い、北海道以外でも漁獲されます。国産ズワイガニの産地で有名なのは山陰や北陸地方の日本海側で、地域ごとに厳しい基準をクリアしたブランドガニが存在します。
ズワイガニと紅ズワイガニの違い
見た目や産地に大きな違いはありませんが、紅ズワイガニのほうが安価です。
ズワイガニ
・見た目:全体的に茶色い
・味:甘みと旨みが強い
・食感:やわらかい
・カニ味噌:濃厚
・相場価格:1㎏7,000~15,000円ほど
紅ズワイガニ
・見た目:鮮やかな紅色
・味:甘みが強い
・食感:水分が多くジューシー
・カニ味噌:あっさり
・相場価格:1㎏あたり5,000~6,000円ほど
ズワイガニと比べて身入りは少ないですが、殻が薄いので身を取りやすいです。ズワイガニより甘みが強く、鍋料理などで加熱すると違いがよくわかります。
タラバガニやズワイガニの購入方法【カニ通販サイトがおすすめ】
タラバガニやズワイガニの購入は、カニ通販サイトが便利です。購入の際は、次の2点に注意して選びましょう。
・カニの専門店であること
・選別や加工の基準が明確であること
地元の漁師や水産会社と、直接提携している通販業者がおすすめ。仕入れから配送までを一括できるため、高品質なカニが割安で買えるからです。
タラバガニもズワイガニも大変美味しいカニです。両者の違いを知ることで、カニの旨みを存分に味わえます。