2024年8月1日

カニの基礎知識

【料理人が徹底比較】紅ズワイガニとズワイガニの違い｜味・値段・旬・見分け方まで解説

「紅ズワイガニとズワイガニって何が違うの？」「安い紅ズワイって、味はどうなんだろう？」
そんな疑問にお答えするために、紅ズワイガニと本ズワイガニの違いを、現役料理人の視点からわかりやすく整理しました。

この記事では、 ①見た目・産地・生息域　②味・身入り・カニ味噌　③値段・コスパ　④旬・シーズン　⑤おすすめの食べ方と選び方 まで徹底比較します。
読み終わるころには「自分が買うべきなのはどっちか」が、はっきりイメージできるはずです。

紅ズワイガニとズワイガニの違いはざっくり3つ
見た目・産地・生息域の違い
味・身入り・カニ味噌の違い
値段・相場・コスパの違い
旬・シーズンと漁期の違い
それぞれに向いている料理・食べ方
通販で失敗しない選び方のポイント
紅ズワイガニとズワイガニのよくある質問Q&A
まとめ｜違いを知れば「紅」も「本」もおいしく楽しめる

紅ズワイガニとズワイガニの違いはざっくり3つ

まずは全体像から。紅ズワイガニとズワイガニの違いは、大きく分けて次の3つです。

① 味・食感：紅ズワイ＝みずみずしく甘みが強い／ズワイ＝上品な旨みで身がしっかり
② 値段：同じ重量なら、紅ズワイガニの方がかなりお手頃
③ 旬・漁期：紅ズワイは漁期が長く、ズワイよりシーズンが長い

どちらが「上」かというよりも、用途と予算に合わせて賢く使い分けるのがおすすめです。
ここから、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。

見た目・産地・生息域の違い

紅ズワイガニとズワイガニは「同じ属」の別種

生物学的には、紅ズワイガニもズワイガニもズワイガニ属に分類される近い仲間ですが、別の種類です。
そのため見た目はよく似ていますが、甲羅の色や殻の厚さ、生息水深に違いがあります。

色・殻・サイズの違い

紅ズワイガニ

ゆでる前から鮮やかな赤色に近い殻色
殻が比較的薄く、身を取り出しやすい
サイズ感は本ズワイと大きくは変わらないが、身入りはやや軽めになりやすい

本ズワイガニ（ズワイガニ）

生の状態ではやや茶色がかった赤～くすんだ色
殻は紅ズワイよりやや厚めで、身がしっかり詰まりやすい
オスは脚が長く、ブランドガニ（松葉ガニ・越前ガニなど）は大型個体も多い

生息水深・漁場の違い

ズワイガニ：水深300～500m前後の比較的浅い海域
紅ズワイガニ：水深800～2,000mの深海に生息し、漁法も異なる

深い海に生息する紅ズワイガニは、水温変化が少ない環境で育つため、通年比較的一定の味とも言われます。
一方ズワイガニは、日本海を中心とした各地でブランド化されており、「松葉ガニ」「越前ガニ」など産地ごとの個性も楽しめます。

味・身入り・カニ味噌の違い

実際の食卓では、味と食感の違いが一番気になるポイントです。

紅ズワイガニの味の特徴

甘みが強く、味がはっきりしている
水分量が多く、身はみずみずしくやわらかめ
身入りは本ズワイに比べてやや劣ることがある
カニ味噌はおいしいが、量は少なめ

紅ズワイガニは、ゆでガニとしてそのまま頬張ると甘さがわかりやすいタイプです。
殻が薄くて身を取り出しやすいので、ほぐし身にしてサラダやグラタン、カニクリームコロッケなどにも使いやすいのが魅力です。

ズワイガニの味の特徴

上品な甘みと強い旨みで「カニらしい味」の代表格
身がしっかり詰まっていて、ほどよい弾力
カニ味噌の量・コクともに紅ズワイより豊富
カニ刺し・カニしゃぶ・鍋など、幅広い料理に向く

ズワイガニは、身の密度と旨み、カニ味噌まで含めた総合点が非常に高いカニです。
刺身やしゃぶしゃぶでとろける食感を味わったり、甲羅でカニ味噌を温めて脚肉をディップして食べるなど、楽しみ方の幅も広いのが特徴です。

値段・相場・コスパの違い

同じ「ズワイガニ属」でも、紅ズワイガニとズワイガニでは市場価格が大きく違うのが一般的です。

なぜ紅ズワイガニは安いのか？

漁期が長く、年間を通して水揚げが多い
資源保護の工夫により、比較的安定した漁獲量がある
水分が多く日持ちしにくいため、価格が抑えられやすい

一般的に、市場で流通するズワイガニに比べて、紅ズワイガニの値段は1/10〜1/5ほどの安さと言われることもあります。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
そのため、予算を抑えつつ「カニをお腹いっぱい食べたい」というときには、紅ズワイガニは非常にコスパの良い選択肢です。

ズワイガニの価格帯

同じ重量なら、紅ズワイに比べて明らかに高価
とくにタグ付きブランドガニ（松葉ガニ・越前ガニなど）は高級品
活ガニや大サイズのオスは、1杯で1〜2万円以上になることも

ズワイガニは、「味・身入り・ブランド性」も含めたプレミアムなカニとして扱われることが多く、
贈答用や特別な日、年末年始のごちそうとして選ばれます。

旬・シーズンと漁期の違い

どちらも「冬の味覚」というイメージがありますが、漁期の長さには大きな差があります。

ズワイガニの旬・漁期

旬：冬（11〜3月頃）がピーク
産地ごとに漁期が厳しく決められており、解禁〜禁漁の期間は比較的短い
その分、「冬のごちそう」感が強い

紅ズワイガニの旬・漁期

漁期は産地によって異なるが、本ズワイより長いケースが多い
日本海側では9月〜翌年6月など、長い期間水揚げされる例もある
そのため、ズワイより長いシーズンで楽しめるのが特徴

いずれも味のピークは冬場ですが、紅ズワイは漁期が長いため、
「冬以外のシーズンにも比較的お手頃に楽しめるカニ」として重宝されています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

それぞれに向いている料理・食べ方

紅ズワイガニに向いている料理

茹でガニ（シンプルにそのまま）
ほぐし身を使ったサラダ・カニグラタン・カニクリームコロッケ
カニの炊き込みご飯・カニチャーハン
カニ玉・あんかけ炒飯など、ほぐし身をたっぷり使う料理

紅ズワイガニは甘みが強く、身をほぐして使う料理との相性が抜群です。
「たっぷり量を使える」という強みを活かして、家庭でもレストラン級のカニ料理が作れます。

ズワイガニに向いている料理

カニ刺し・カニしゃぶ
カニ鍋・カニすき・カニちり
焼きガニ（脚の旨みをダイレクトに味わう）
甲羅焼き（カニ味噌＋日本酒＋脚肉）

ズワイガニは、生・半生で食感と甘みを楽しむ料理に特に向いています。
カニ味噌もたっぷりなので、甲羅焼きや雑炊など「最後の一口」まで贅沢に楽しめます。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

通販で失敗しない選び方のポイント

紅ズワイガニ・ズワイガニを通販で購入する際は、次の4ポイントをチェックすると失敗しにくくなります。

1. 「紅」か「本」かを明記しているか

商品名や説明文に、紅ズワイガニなのか、本ズワイガニなのかがはっきり書かれているかを確認しましょう。
両者は味・価格が大きく違うため、「思っていたより安い／高い」と感じたら、まずここをチェックするのがおすすめです。

2. 原料原産地・加工地が記載されているか

ズワイガニは国産・輸入品があり、産地やブランドによって価格も大きく変わります。
紅ズワイガニも日本海側の各地で漁獲されているため、どこで獲れたカニかは確認しておきたいポイントです。

3. 「姿」「肩脚」「むき身」など形状をチェック

同じ1kgでも、姿（丸ごと）なのか、肩脚セットなのか、むき身なのかで食べやすさや見栄えが変わります。
・見た目重視なら「姿」／
・食べやすさ重視なら「肩脚・むき身」
といったように、用途に合わせて選びましょう。

4. 訳あり品は「理由」を確認

紅ズワイガニ・ズワイガニともに、脚折れ・サイズ不揃い・身入りのバラツキなどを理由にお得な「訳あり品」が販売されることがあります。
「見た目だけ訳あり」なのか、「身入りにもバラつきがある」のかを説明文で確認し、
大量に食べたいとき・鍋や加工用に使いたいときなど、シーンに合わせて活用するのがおすすめです。