冷凍カニには「生冷凍」と「ボイル冷凍」の2種類があり、それぞれおすすめの食べ方や解凍方法が異なります。
本記事では、冷凍カニの食べ方と解凍方法について、料理人歴16年の経験と知識に基づいて詳しく解説します。
結論から言うと、冷凍カニの食べ方で失敗しないコツは「解凍方法」にあります。カニは水分を多く含むため、解凍時に水分と一緒に旨みが抜けやすいからです。
旨みを逃さず解凍できる「氷水解凍」の裏技も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
冷凍カニは2種類|生冷凍とボイル冷凍の違い
冷凍カニは大きく分けて2種類あり、未加熱か加熱済みかで食べ方や解凍方法が異なります。
| 種類 | 状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 生冷凍 | 未加熱 | 生の状態から冷凍。加熱調理が必要 |
| ボイル冷凍 | 加熱済み | 茹でてから冷凍。解凍するだけで食べられる |
どちらも漁獲から冷凍までの時間が短いほど、味や鮮度が保たれます。カニはとても傷みやすく、船に揚げられた瞬間から劣化していくからです。
生冷凍カニの特徴
生きているカニをわざわざ冷凍するのは、鮮度を保つためです。
水槽に入っている活カニは餌も与えられず、時間が経つほど弱っていきます。活きが悪くなる前に冷凍することで、漁獲時の鮮度を保てるのです。
【生冷凍カニの特徴】
- カニの香りと旨みが強い
- 水分が多くてジューシー
- 生食用以外は要加熱
「生食用」「刺身用」の表記がない限り、加熱しないと食べられません。獲れたてを船上で凍結したものは「船凍品」と呼ばれ、特に鮮度が高いとされています。
ボイル冷凍カニの特徴
日本で流通するカニは「ボイル冷凍」が主流です。茹でることで適度に水分が抜け、生と比べて甘みが凝縮されています。
茹でてから冷凍までが早いほど、品質が低下しません。カニは茹でた後も劣化し続けるからです。
【ボイル冷凍カニの特徴】
- カニの甘みが強い
- ふっくらとした食感
- 解凍するだけで食べられる
加熱してあるので、解凍するだけで食べられます。絶妙の茹で加減に仕上げるには、熟練の勘と技が必要です。
冷凍カニの美味しい食べ方|生冷凍・ボイル冷凍別
生冷凍カニとボイル冷凍カニでは、おすすめの食べ方が異なります。それぞれのよさを引き出す調理法をご紹介します。
| 食べ方 | 生冷凍 | ボイル冷凍 |
|---|---|---|
| 茹でガニ | △(茹で加減が難しい) | ◎ |
| 焼きガニ | ◎ | ○ |
| カニ鍋・しゃぶしゃぶ | ◎ | △(パサつきやすい) |
茹でガニ|カニ味噌を存分に味わえる
もっともポピュラーな食べ方で、身やカニ味噌の旨みを存分に味わえます。
ボイル冷凍カニがおすすめです。解凍してすぐに食べられ、茹でることで余分な水分が抜けて甘みが増しています。
自分で茹でれば生冷凍カニでもできますが、茹で加減が難しいのでおすすめしません。
ポイント:1杯丸ごとの場合は、甲羅を下にしたまま盛り付けましょう。脚を取り外しやすく、カニ味噌がこぼれません。

焼きガニ|香ばしさと甘みが楽しめる
生冷凍・ボイル冷凍どちらにもおすすめの食べ方です。ただし、むき身だとカニのエキスが流れ出てしまうので、殻付きのまま焼くのがポイント。
生冷凍カニの焼き方
半解凍してからじっくり焼きます。
- 網焼き・七輪:焼き時間約5分
- フライパン:3〜5分焼き、蓋をしてさらに3〜5分
ボイル冷凍カニの焼き方
8割ほど解凍して、サッと炙る程度でOK。
- 網焼き・七輪:焼き時間約3〜4分
- フライパン:蓋をして3〜4分ほど
注意:カニエキスがこぼれないように、つねに殻を下にして焼いてください。殻に焼き目が付き、水分が吹き上がってきたら食べごろです。
カニ鍋・カニしゃぶ|旨みを余すことなく味わう
冬の定番といえる食べ方で、カニの旨みを余すことなく味わえます。
生冷凍カニがおすすめです。鍋料理は煮込まないと出汁が出ないため、生のほうが向いています。ボイル冷凍だと加熱済みの状態でさらに煮込むことになり、水分が抜けすぎてパサつきやすくなります。
すべての具材を入れた後、最後にカニを加えるのがポイント。
- 生冷凍カニ:火が通るまでじっくり煮込む
- ボイル冷凍カニ:温める程度にサッと火を通す
失敗しない冷凍カニの解凍方法
本来は生冷凍カニとボイル冷凍カニで、解凍方法が異なります。
生冷凍カニの解凍方法|流水で短時間解凍
生冷凍カニは流水解凍が基本です。時間をかけると黒く変色(黒変)してしまうため、手早く解凍します。
- カニをビニール袋に入れ、密閉する
- ボウルに入れ、流水を当て続ける
- 殻に弾力が出てきたら完了
解凍時間の目安
| カニの状態 | 解凍時間 |
|---|---|
| ポーション(むき身) | 10〜15分 |
| 殻付きの脚 | 15〜20分 |
| 丸ごと1杯 | 20〜30分 |
注意:生冷凍カニは半解凍の状態で調理を始めましょう。完全に解凍すると、ドリップ(旨みを含む水分)が大量に出てしまいます。
ボイル冷凍カニの解凍方法|冷蔵庫でゆっくり解凍
ボイル冷凍カニは冷蔵庫でゆっくり解凍が基本です。急激な温度変化を避けることで、旨みの流出を最小限に抑えられます。
- カニを新聞紙やキッチンペーパーで包む(乾燥防止)
- ビニール袋に入れ、甲羅を下にして冷蔵庫へ
- じっくり時間をかけて解凍する
解凍時間の目安
| カニの状態 | 解凍時間 |
|---|---|
| ポーション(むき身) | 6〜8時間 |
| 殻付きの脚 | 12〜18時間 |
| 丸ごと1杯 | 18〜24時間 |
ポイント:食べる前日の夜に冷蔵庫に移しておくと、翌日の夕食にちょうど良い状態になります。7〜8割解凍の状態がベストです。
裏技「氷水解凍」|どちらにも使える失敗しない方法
生冷凍・ボイル冷凍どちらにも使える失敗しない裏技が「氷水解凍」です。

料理人が教える裏技「氷水解凍」
旨みたっぷりのカニエキスを逃さないために、冷凍カニに近い温度帯で解凍します。周囲との温度差が大きいほど、大量の水分と一緒に旨みも流出してしまうからです。
水は空気よりも熱伝導率がよいので、氷を入れても常温や冷蔵庫より早く解凍できます。
氷水解凍の手順
- 大きめの容器に氷水を入れる(冷凍カニが浸かるくらいの量)
- 袋に入れた冷凍カニを沈める(浸水を防ぐため、袋の口を容器の外に出す)
- カニが浮かばないよう重石をする(水から出ている部分は溶けない)
- 表面に付着する氷の膜をまめにはがす(低温すぎると解凍が進まない)
- 殻や甲羅に弾力が出てきたら解凍完了(3〜5時間が目安)
氷が少なくなったらつぎ足して、低温をキープしてください。
解凍するときの注意点|やってはいけないこと
生・ボイル冷凍カニに関わらず、やってはいけないことがあります。
| 禁止事項 | 理由 |
|---|---|
| 常温解凍 | 温度差が大きく旨みが流出する |
| 電子レンジ解凍 | ムラができ、旨みが流出する |
| 冷凍のまま加熱調理 | 中まで火が通らない |
| 完全に解凍する | 黒く変色したり味が落ちる |
| 解凍後に放置 | 劣化が進む |
| 再冷凍 | 品質が大幅に低下する |
解凍の目安
- 生冷凍カニ → 半解凍
- ボイル冷凍カニ → 7〜8割ほど
解凍した瞬間から劣化するので、食べる分だけ解凍しましょう。丸ごと1杯の場合は、カニ味噌がこぼれないようつねに甲羅を下にします。
食べ終わったカニ殻の活用方法
カニの殻は捨てる前に有効活用できます。
殻でカニ出汁を取る
食べ終わったカニ殻からは、濃厚な出汁が取れます。
- カニ殻を細かく切る(断面が多いほど出汁が出る)
- 魚焼きグリルで軽く焼く(臭みが消え香ばしくなる)
- アルコール類を加え煮出す(酒で和風・ワインで洋風)
- ザルにキッチンペーパーを重ねて濾す
お好みでネギやショウガなどの香味野菜、昆布などを加えてください。抽出したカニ出汁は、製氷皿で小分け冷凍すると使うとき便利です。
臭いが出ないカニ殻の捨て方
カニの殻はきちんと処理しないと、悪臭を放ちます。殻に付着している水分をしっかり処理することが重要です。
食べ終わったカニ殻は水洗いして、ザルなどで水気をよく切りましょう。
- 捨てる直前まで冷凍する
- 新聞紙で包んで袋を二重にする
- お茶がらやコーヒーかすをかける
まとめ|冷凍カニの食べ方と解凍方法
冷凍カニには生冷凍とボイル冷凍があり、おすすめの食べ方や解凍方法が異なります。
| 項目 | 生冷凍カニ | ボイル冷凍カニ |
|---|---|---|
| おすすめの食べ方 | 焼きガニ・カニ鍋・カニしゃぶ | 茹でガニ・焼きガニ |
| 基本の解凍方法 | 流水で短時間解凍 | 冷蔵庫でゆっくり解凍 |
| 解凍時間の目安 | 10〜30分(流水) | 6〜24時間(冷蔵庫) |
| 解凍の仕上がり | 半解凍 | 7〜8割 |
料理人が教える裏技の解凍方法は「氷水解凍」です。冷凍カニとの温度差がなくなるため、旨みが流出しません。
食べ終わったカニ殻は、出汁を取ったり肥料に活用したりできます。カニを余すことなく楽しみましょう。
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